男性更年期障害かうつ病かを見極めるのに役立つのは、テストステロンが減少しているかどうかだ。一般的にLOH症候群は血液検査の結果、次のような値を示したときに診断される。
ただ、ここにも“個人差”がある。
小堀医師によると、テストステロンが正常値であっても、治療でテストステロンを補充することで、約60%の男性に症状の改善が認められたという報告があるそうだ。つまり、数値だけで診断や治療の有無を決められない。
「おそらく、生まれつきテストステロン値が高い人が急激に減少すれば、たとえそれが正常値の範囲でも症状は出やすい。反対に、もともとテストステロンが少ない人は、低い値でもその状態をキープしていれば、症状は出にくいのではないでしょうか」
そのため、診療現場では、血液検査の結果に加えて丁寧な問診などを行い、更年期障害がどうかの可能性をつきつめていくそうだ。「疑われるけれど、確定とまでいかない人」に対しては、まずはホルモン補充療法としてテストステロンを補充し、不調が改善するかどうかを見る「診断的治療」が行われる。
66%の男性が「自覚していない」
男性更年期障害が問題なのは、受診につながりにくいという点だ。前述したように精神的な症状ではうつ病と間違われやすく、ほかの症状についても男性更年期障害特有なものがないため、気づきにくい。
また、女性と比べて発症する年代が幅広い点も、更年期障害を自覚しづらくさせている一因となっている。
「実際のところ、重度であっても約66%の人が自分に男性更年期障害があることを自覚していないというデータがあります。さらに症状があっても、男性の場合、今も職場の先輩や同僚に相談しにくいという環境があることから、症状を抱えながらもんもんと過ごしている方も多いと考えられます」(小堀医師)
しかし、男性更年期障害が重くなると、仕事のパフォーマンスが低下する。冒頭で示したとおり、経済産業省は男性更年期障害の人の欠勤などによる経済的損失を1.2兆円と試算している。


















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