ジーンズを脅かす流行「アスレジャー」とは? いま押さえておくべき6つの事実
4.「新たなデニム」としての長期トレンド
このアスレジャーのトレンドはサッカーマム(子供にサッカーを習わせる教育熱心なアッパーミドル階級の母親)やミレニアル世代(1980年代から2000年代初頭に生まれた若年層)に限ったものではない。人々はアスレジャーを着て、エアロバイクに乗ったり、ヨガクラスに参加したりするだけでなく、パーティや重役会議にまで参加している。マーケットリサーチ企業のNPDによると、スポーツウエアを購入するおよそ半分の人たちはスポーツ目的で購入しているのではなく、カジュアルに着る普段着目的として購入しているという。
ナイキのCEOであるマーク・パーカー氏は、2014年の秋にニューヨークで行われた「Women’s Innovation Summit」にて「レギンスは新たなデニムである」と発言したが、少しも不思議ではない。
5. 右肩上がりの成長を続ける売り上げ
これは単なる一過性のトレンドではない。激化する競合環境のなか、小売業界にとってアスレジャーは成長の舞台になるかもしれないのだ。市場リサーチ企業のユーロモニター・インターナショナル(Euromonitor International)によると、アメリカ国内におけるアウトドアや「スポーツに影響された洋服」なども含むスポーツウエアの売り上げは7.8%成長していて、2014年は910億ドル(約11兆円)の利益があったという。2007年と比べると27%以上の成長だ。
ブルームバーグは、ジーンズ大手の老舗リーバイスが、頭打ちのジーンズ需要と、女性がジーンズよりヨガパンツを選ぶ傾向に苦しんでいると伝えている。同記事によると、アスレチックパンツに限れば2010年から2014年の間に売り上げは62%伸びた。調査企業のNPDグループによると、2014年時点でアスレチックパンツとジーンズの販売数は並び、女性向けジーンズ市場は8%縮小したという。
6. 業界のリーダーは、ルルレモン
市場をつくったとも言えるルルレモンは、支配的な地位にあるようだ。ルルレモンはカナダ・バンクーバーに本拠を持つ、創業1998年のヨガブランド。時価総額90億ドル(1兆円)。ヨガにふさわしい素材のウエアを開発してきた結果、ランニングなどのフィットネス全般に利用されるようになった。同社は2006年から売り上げを急速に伸ばし、2014年の売り上げは18億ドル(約2100億円)に達している。
手ごわい後続勢、アスレジャー市場は百花繚乱
しかし、後続勢も手ごわい。アンダーアーマーは「コールドギア」「ヒートギア」の高機能ウエアで人気。同社は世界最大規模のフィットネスアプリを運営し、アパレルを販売するだけではなく、日常生活のなかにまで浸透しようとしている。ナイキ、アディダス、リーボックなどのスポーツ用品大手のほか、下着メーカーのビクトリアシークレットも参入。百花繚乱状態だ。
懐疑的な専門家もいる。マーケット調査企業フォレスター・リサーチのアナリスト、スチャリタ・ムルプル氏は「現在すでに大勢のプレイヤーたちが参入しているため、このアスレジャーの分野は飽和状態になっているかもしれない」と語った。
(文:小嶋太一郎、吉田拓史)
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