撮り続けた「人と鉄道」写真家・南正時60年の軌跡 SLから新幹線まで「人生を運ぶ」鉄道のドラマ

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鉄道を取り巻く人々は、当然ながら鉄道員だけではない。乗り合わせた人々の人生が交差するのが鉄道である。

今ではほとんどなくなってしまった話だが、かつては列車、とくに長距離列車やローカル列車に乗り合わせると、乗客同士でどちらまで行かれるんですかと声をかけたり、帰省の時期であれば里帰りですか、どちらまで?などと言葉を交わしたりするのが普通だった。

岩手開発鉄道
ピカピカの一年生(キハ301形)岩手開発鉄道長安寺駅 1984年4月(撮影:南正時)
【写真をもっと見る】東海道新幹線開業直前の試運転列車、全国で最後の活躍を見せていた蒸気機関車と鉄道員の表情、ブルートレインとその車掌や機関士、今はなきローカル線など、南正時氏の写真集収録作品から一部を紹介

筆者の作品の中でもベスト3に入ると思っているのが、桜の咲くホームに入ってきた旧型気動車と子どもたちをとらえた写真だ。現在は貨物専用鉄道となっている岩手開発鉄道が旅客輸送を行っていた時代に撮ったものである。

桜の咲くホームに丸っこい旧型の気動車、それだけでも舞台としては整っているが、やはりそこに通学の子どもたちがいてくれたからこそ、完璧な写真になったと思っている。

「人の生活」が見える鉄道写真を

近年はプライバシーの問題もあり、写真に人が入るのを避けるのはやむをえない。ただ、最近のいわゆる「撮り鉄」の人は、人物が写真に入ること自体を好まない人が多いようだ。

『鉄道写真家60年の軌跡 南正時自選写真集』(メディア・パル)。書影をクリックすると、アマゾンのサイトにジャンプします

筆者から見れば、そこで生活している人がいて列車が走っているということが、その土地の風景である。

そういった、鉄道と生活の関わりをとらえたいと思ってきた。

鉄道写真を撮り続けて60年、その間に被写体となる列車だけでなく社会も大きく変化した。かつてのような、鉄道と人の写真を撮るのは難しくなっているのは事実だ。

だが、たとえ人が写っていない風景や列車の写真であっても、鉄道を取り巻く「人の生活」がわかる写真を撮ることはできる。そのような写真を、今後も撮り続けたいと思っている。

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南 正時 鉄道写真家

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みなみ・まさとき / Masatoki Minami

1946年福井県生まれ。アニメーターの大塚康生氏の影響を受けて、蒸気機関車の撮影に魅了され、鉄道を撮り続ける。71年に独立。新聞や鉄道・旅行雑誌にて撮影・執筆を行う。

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