撮り続けた「人と鉄道」写真家・南正時60年の軌跡 SLから新幹線まで「人生を運ぶ」鉄道のドラマ
鉄道を取り巻く人々は、当然ながら鉄道員だけではない。乗り合わせた人々の人生が交差するのが鉄道である。
今ではほとんどなくなってしまった話だが、かつては列車、とくに長距離列車やローカル列車に乗り合わせると、乗客同士でどちらまで行かれるんですかと声をかけたり、帰省の時期であれば里帰りですか、どちらまで?などと言葉を交わしたりするのが普通だった。
筆者の作品の中でもベスト3に入ると思っているのが、桜の咲くホームに入ってきた旧型気動車と子どもたちをとらえた写真だ。現在は貨物専用鉄道となっている岩手開発鉄道が旅客輸送を行っていた時代に撮ったものである。
桜の咲くホームに丸っこい旧型の気動車、それだけでも舞台としては整っているが、やはりそこに通学の子どもたちがいてくれたからこそ、完璧な写真になったと思っている。
「人の生活」が見える鉄道写真を
近年はプライバシーの問題もあり、写真に人が入るのを避けるのはやむをえない。ただ、最近のいわゆる「撮り鉄」の人は、人物が写真に入ること自体を好まない人が多いようだ。
筆者から見れば、そこで生活している人がいて列車が走っているということが、その土地の風景である。
そういった、鉄道と生活の関わりをとらえたいと思ってきた。
鉄道写真を撮り続けて60年、その間に被写体となる列車だけでなく社会も大きく変化した。かつてのような、鉄道と人の写真を撮るのは難しくなっているのは事実だ。
だが、たとえ人が写っていない風景や列車の写真であっても、鉄道を取り巻く「人の生活」がわかる写真を撮ることはできる。そのような写真を、今後も撮り続けたいと思っている。
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