撮り続けた「人と鉄道」写真家・南正時60年の軌跡 SLから新幹線まで「人生を運ぶ」鉄道のドラマ
今ではなかなか難しくなっているが、鉄道の現場を取材する際は「働く人々」にフォーカスすることが多かった。筆者が映画好きであることも大きく影響している。鉄道を描いた名作といわれる映画はそこで働く人々のドラマを丁寧に描いたものが多い。そして、実際の鉄道の現場にもさまざまなドラマが展開していた。そういった瞬間をとらえたいという意識は強かった。
ブルートレイン「あさかぜ」の車掌長の撮影が思い出深い。定年を間近に控えた車掌長で、その姿には鉄道マンとしての風格が漂っていた。
乗務する列車の前で撮影する際、どのようにその風格ある姿をとらえようかと思ったが、どうしてもカチカチのポーズ写真になってしまう。発車時間も迫っているので、筆者は「車掌さん、時間まだ大丈夫でしょうか?」と聞いた。車掌はふと腕時計を見た。その瞬間、車掌は長年定刻運行を支えてきたプロの目になっていた。その瞬間を切り取ることができた。
鉄道マンの風格
運転士や機関士の真剣な表情、そしてふとした瞬間の和やかな姿も素晴らしい被写体だった。
国鉄時代、ブルートレイン「さくら」に、機関区での出庫から終点到着まで同乗取材を行ったことがある。そのとき、機関区内での取材の際に案内してくれた指導機関士に、ぜひ「運転している機関士の姿」という写真を撮らせてほしいとお願いしたことがあった。
機関区内での姿だが、やはり運転台に座ってもらうと、その姿は真剣な機関士の表情そのものだった。


















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