「CoCo壱、高い」のブーイングはなぜ起こる? チェーンストア研究家が気づいた、"贅沢していないのに割高"と思わせるものの「正体」

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特に、CoCo壱はチェーン店でもあるから、客としては、なるべくめんどくさい手間を省いて楽に食べたいと思うだろう。本来、チェーン店は「考えなくていい」ことに価値があるはずなのだ。

にもかかわらず、すべての選択を自分でしなくてはいけないCoCo壱には、あまりいい印象が持たれないのではないか。それに、自分で選択した後、目にするのは、かなり高い値段。全体のイメージが下がるのも、納得なのである。

CoCo壱番屋店内
電子メニュー一覧から注文を決めるのにもひと苦労なのかも(写真:筆者撮影)

価格と満足度のバランスを見直す時期にきている

CoCo壱は、売り上げ・利益は、客単価の増加でなんとか補填できている状態だが、消費者心理から見ると、危険な状態に入りつつあるかもしれない。

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2026年2月期中間決算説明会資料では「(客足の)回復に向けた施策や新規顧客層にアプローチするための施策、QSCの向上に取り組んだものの、当中間期は前期比5.4%減となった」という。それだけ、顧客にとっては、CoCo壱自体を忌避する傾向が強まっているといえよう。それは、ここまで書いてきたような「なんとなく割高で、満足度が低い」感じを生み出してしまう、店自体のシステムにあるのかもしれない。

客単価の向上には限界があり、客足が減り続ければ、いずれは減益してしまう。その意味でも、やはりCoCo壱は「顧客にとってのCoCo壱の価値」を見直す時期に来ている。いわば、価格と納得度のバランスをよくよく考える必要がある。その際、「普通の満足で割高」「選択のパラドックス」といったことは重要な観点になってくるはずである。

そして、日本全体でインフレが進み、商品単価を上げざるをえない現在、この「価格と満足度のバランスをどう保つか」はすべての外食企業にとって取り組まざるをえない課題である。

【もっと読む】「味が値段に見合ってない」「さすがに高い」との声もあるが…。ココイチ「驚愕の3280円カレー」が示す“残酷な現実” では、ココイチが超高単価メニューを投入する背景について、チェーンストア研究家に谷頭和希氏が詳細に解説している。
谷頭 和希 都市ジャーナリスト・チェーンストア研究家

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たにがしら・かずき / Kazuki Tanigashira

都市ジャーナリスト・チェーンストア研究家。1997年生まれ。早稲田大学文化構想学部卒業、早稲田大学教育学術院国語教育専攻修士課程修了。「ゲンロン 佐々木敦 批評再生塾 第三期」に参加し宇川直宏賞を受賞。「東洋経済オンラインアワード2024」でMVPを受賞。著作に『ドンキにはなぜペンギンがいるのか』 (集英社新書)、『ニセコ化するニッポン』(KADOKAWA)、『ブックオフから考える 「なんとなく」から生まれた文化のインフラ』(青弓社)がある。テレビ・動画出演は『ABEMA Prime』『めざまし8』など。

X:@impro_gashira

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