「CoCo壱、高い」のブーイングはなぜ起こる? チェーンストア研究家が気づいた、"贅沢していないのに割高"と思わせるものの「正体」
そして、筆者が見ている限り、「CoCo壱は高くなった」という声は、他の飲食チェーンよりも多いようなのである。筆者も本媒体で何度かCoCo壱の値上げについて書いているが、それに対するコメントでは「高すぎる」という意見が圧倒的である。
なぜかCoCo壱は「高い」というイメージが染み付いているようだ。いったい、これはなぜか。
CoCo壱は「客単価を上げ、客数減少を補填している」
大前提として、CoCo壱の経営状況や値上げの状況について簡単にまとめておこう。
カレーハウスCoCo壱番屋を運営する壱番屋の2026年2月期中間決算によれば、CoCo壱の全店売上高は前年同期比で2.7%の増加。一方、客数はマイナス5.4%、客単価は8.1%の増加である。
簡単にいえば、「客単価を押し上げ、減った客数分を補填している」というのが現在のCoCo壱の姿だ。
実際、CoCo壱は2024年8月に値段の改定を行い、最もシンプルなメニューであるポークカレーは東京都・神奈川県・大阪府で591円から646円と55円の値上げ。その他の地域では570円から646円と76円の値上げになっている。これだけでなく、CoCo壱は2019年から短期スパンで断続的に値上げを行っている。
企業側としては「利益」が重要であり、本業での儲けを示す営業利益は前年比5.5%増加なので、取り立ててこの選択が「失敗」だったわけではない。冷静に見ると、CoCo壱の戦略はインフレ下における「正当な戦略」であり、それについてあーだこーだ言われる筋合いはない。経営判断として見れば、きわめて教科書的で、まっとうである。


















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