6000人超の高齢者と向き合ってきた医師が見た 「人生の最期」幸福感を決める"カギの正体" 《幸福のピークは82歳以上》という衝撃の事実
これは、人間というのは絶対量ではなく、基準点と比べて「上にいるか、下にいるか」で利益・損失を感じるという理論です。
たとえば、仮に100億円を持っていても、昨日より財産が減れば不幸に感じるし、逆に貧しい人は100円を拾っただけでも幸せに感じます。要するに、基準点をどこに置いて現状を判断するかで人の幸せは変わってくる、ということです。
考えてみれば、現役時代に大企業の社長として1万人もの従業員から頭を下げられ、毎日料亭や星付きの高級レストランで食事をしていた人は、数億円もする高級老人ホームに入ったとしても満足できないかもしれません。食堂で数千円もする食事を食べ、贅沢な広い部屋で寝起きしても、本人は「落ちぶれた」と感じてしまうからです。
よくないのは、過去の栄光と比べること
今の自分を不遇だと感じ、「自分の人生はこれでよかったのか」と感じている富裕層もいます。
その一方で、若いころからずっと貧しい暮らしを続け、最後は生活保護を受けるようになり、足腰も弱って特別養護老人ホームに入った人がいるとします。
介護施設の職員たちは、基本的に生活保護だからといって差別的に接するわけではありません。食事だって、普通は3品ぐらいおかずがつきます。そうなると、その人がこれまで食べてきたものよりも、はるかに質の高い食事を口にできるわけです。
すると、その人は「ああ、自分は人生の最後にこんなに幸せな思いができるんだ」と感じられることでしょう。
結局のところ、自分のなかの参照点が高ければ高いほど、今を不満に思い、後悔する確率が高いということです。
とくによくないのは、過去の栄光と比べることです。人生でいちばん輝いていた時期と比べれば、今の自分がもの足りなく惨めに思えてしまうのは当然です。
また、周りの人と比べるのもやめたほうがいいでしょう。
たとえば70歳や75歳になっても社会的地位を保ち、幸せそうにしている人は必ずいます。同級生のなかで落ちぶれてしまった人よりも、そのように活躍している人のほうが、どうしても目につきやすいものです。
そういう人を参照点にしてしまうと、自分で基準を引き上げてしまうことになり、満足や幸福を感じられなくなってしまうのです。
日本人には、一般的に「健康診断のデータが正常なら健康だ」とか「年収が1000万円を超えていれば成功者」など、世のなかに絶対的な基準があるように捉えている人が多く、そういう人は自分の幸せについても客観的な基準で判断しがちです。


















無料会員登録はこちら
ログインはこちら