自民党で高まる「維新切り」と「早期解散」の現実味、高市首相の"変心"で定数削減は《事実上の棚上げ》か

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その一方で、「(補正予算編成をめぐっては)維新との広範な連立政権合意を基礎としつつ、各党からの政策提案についても柔軟に取り入れ、国民民主党、公明党の皆様からもご賛同を賜った」と、各党との連携にも積極的に対応したことを強調してみせた。

そして、維新と約束した「議員定数削減法案」については、「大変残念ながら、審議すらされませんでした。引き続き、通常国会において、野党の皆様のご理解を求め、成立を期したいと思います」と述べた。

ただ、「成立への熱意や執念を感じさせない、淡々とした発言に終始した」(官邸筋)との見方が多い。自民党内でも「もはや、高市首相も定数削減への関心を失いつつある」(執行部)という声が出始めている。

臨時国会閉幕を受けて、政府は19日に「令和8年度与党税制改正大綱」を取りまとめ、26日に「令和8年度当初予算」を閣議決定する方針だ。併せて、年明け以降の外交日程や、ドナルド・トランプ大統領との日米首脳会談の可能性を模索するため、次期通常国会は1月26日に召集する公算が強まっている。

その場合、当初会期150日間の会期末は6月下旬となり、自維連立と国民民主党の“与党化”が続いていれば、「仮に立憲民主党が内閣不信任案を提出しても、与党は淡々と否決し、高市首相も解散断行は見送る可能性が大きい」(自民党幹部)との見方も広がる。

吉村氏の“ブラフ”は通用するのか

ただ、「定数削減法案」の決着にこだわる維新の吉村代表は、18日夕に出演した関西民放の情報番組で、次期通常国会での同法案の取り扱いについて「賛成にしろ、反対にしろ、答えを出さないことはダメ」「成立させなかった原因が自民党(の対応)にあるなら大問題」と言及。出演者から「採決に付されなかったら連立離脱か」と詰められると、「高市さんとの信頼関係がなくなったら離脱だと思っている」と発言し、スタジオ内を騒然とさせた。

もちろん、こうした吉村氏の言動について、政界関係者の多くは「高市首相や自民党執行部へのブラフ(虚勢)」と受け止めている。ただ、「(解散のことなど)考えている暇がない」と繰り返す高市首相にとって、「新年度予算成立後の関連法案処理の段階では、解散断行が有力な選択肢」(官邸筋)ではある。

このため、「年明け以降の自維連立を取り巻く状況次第で、『解散断行=自維連立崩壊』となる可能性は否定できない」(自民党長老)。来年も不透明な政局が続くことは間違いなさそうだ。

泉 宏 政治ジャーナリスト

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いずみ ひろし / Hiroshi Izumi

1947年生まれ。時事通信社政治部記者として田中角栄首相の総理番で取材活動を始めて以来40年以上、永田町・霞が関で政治を見続けている。時事通信社政治部長、同社取締役編集担当を経て2009年から現職。幼少時から都心部に住み、半世紀以上も国会周辺を徘徊してきた。「生涯一記者」がモットー。

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