自民党で高まる「維新切り」と「早期解散」の現実味、高市首相の"変心"で定数削減は《事実上の棚上げ》か

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自民党の狙いは「議席大幅増による連立政権での主導権回復」(有力幹部)で、「早期解散断行なら、自維連立は即崩壊」(自民党長老)との見方も少なくない。同党内の圧倒的多数の本音が「国会議員でもない吉村氏に振り回される状況は我慢できない」(同)ことが背景にあるとされる。

その一方で、吉村代表は18日、民放の情報番組において「衆院解散は首相の大権、反対する立場にはない」とした一方で、16日の与党党首会談を通じて「高市首相は解散などまったく考えていない」と語るなど、自維連立の維持・強化への高市首相の決意を評価、歓迎する意向を繰り返した。

こうした自維両党の“相互不信”が直ちに表面化しないのは、「異常ともいえる『高市人気』の持続」(政治ジャーナリスト)が背景にあるとみられる。ただ、「首相の不用意な発言による日中対立の深刻化や、さらなる物価高騰につながりかねない“放漫財政”が問題化すれば、年明け以降、内閣支持率も急落しかねない」(同)。

それだけに、解散の可否も含めて、“薄氷の連立”による政局混迷の深刻化も想定される。

複雑怪奇「自維連立」をめぐる各党の動き

臨時国会閉幕前後の自民、維新、国民民主の対応などを振り返ると、自維連立をめぐる複雑怪奇な動きが浮き彫りとなる。

まず、高市、吉村両氏は臨時国会閉幕直前の16日の党首会談において、「衆院定数『自動削減』法案」の臨時国会での成立を断念し、連立維持を大前提に、次期通常国会での実現を目指すことを確認した。

同法案をめぐっては、自維両党が臨時国会での審議入りを強く要求したのに対し、野党各党は「1年以内に結論が出なければ計45議席を削減する『自動削減』条項」に猛反発。維新は15日の衆院政治改革特別委員会で先に審議している企業・団体献金をめぐる法案の採決を求める動議を提出した。だが、同委員会での合意は得られず、同法案は17日の会期末処理で継続審議扱いとなった。

これを受けて高市首相は17日夕、首相官邸で記者会見。物価高に対応するための補正予算の成立によって国民との約束を果たせたほか、「強い経済」「強い外交・安全保障」についても一定の方向性を出せたと“成果”を誇示した。

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