グロース市場改革で環境激変!「伸びる上場スタートアップ」の条件。M&Aや情報発信に活路

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東証は同時にスタートアップ企業の混乱を避けるため、時価総額40億円未満の企業にはスタンダード市場への移行をしやすくした。小型の新規株式公開(IPO)であっても、高い成長可能性を有する企業のIPOは歓迎であるという旨のメッセージも出している。

M&Aや情報発信に活路

市場改革を踏まえて、上場スタートアップ企業に求められる点の1つは、M&Aや新規事業の創出という非連続的な成長戦略だ。

グロース市場で積極的にM&Aを行う銘柄はSHIFTやGENDAなどが有名だが、それ以外にもM&Aを積極的に行い、大きな成長を実現したプレーヤーはいる。

有機・特別栽培野菜などの食品定期宅配サービスを手がけるオイシックス・ラ・大地は、13年のIPO時に時価総額が60億円程度だった(当時の社名はオイシックス)。しかし同業他社や海外企業をロールアップ形式で買収し、現在は500億円超まで時価総額を伸ばす。同社は20年に現在のプライムに市場変更をしている。

デジタルマーケティング支援などを行うエフ・コードも同業への買収を重ね、時価総額が約40億円から約180億円となった。

時価総額100億円未満の企業は機関投資家の投資対象となりにくいため、個人投資家向けのアピールが必要だ。個人投資家向けの戦略的なIRで成長を実現したのは、TWOSTONE&Sonsキャンバスの2社。TWOSTONE&Sonsは、IR施策の一環で投稿サイト「note」や「X(旧ツイッター)」を通じた情報発信を行っている。同社は、フリーのITエンジニアと企業のマッチングを展開する。

抗がん剤開発に特化した創薬企業であるキャンバスは、Xを通じてバイオの専門情報を平易な言葉で発信。IR専用のアカウントとしては異例の7000名のフォロワーを集め、低迷していた株価と売買代金を回復させた。両社はいずれも自社の個人投資家をプール化し、関心テーマ別に分類して情報を届きやすくしている。定期的に説明会を開き、直接的な対話の場を設けることも怠っていない。

グロース市場の上場維持基準見直しが決まり、26年は市場改革を成長のステップへと変えた企業が大きく伸びるだろう。M&AとIR戦略という観点で、次なるスターが生まれることを期待したい。

(構成:二階堂遼馬)

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嶺井 政人 グロース・キャピタル 社長CEO

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みねい まさと

早稲田大学卒業。モルガン・スタンレー証券、マイネットCFOを経て2019年グロース・キャピタル設立。

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