吉村代表「国会は茶番」発言が招く特大ブーメラン、"身を切る改革"の裏に見え隠れする維新の本当の狙い

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吉村洋文
当初は「副首都構想」を「絶対に譲れない」と話していた維新の吉村代表(左から2人目)。だが、今では「議員定数削減」に血道を上げる。何が吉村氏を変節させたのか(写真:共同)

「茶番です。結論を出さないんでしょ、どっちも。そんな国会、まっぴらごめんですね」――。臨時国会の会期末が12月17日に迫る中、日本維新の会の吉村洋文代表(大阪府知事)は15日の会見でこう吐き捨てた。

連立与党を組む自民党と維新は5日、衆議院の政治改革特別委員会に、衆院の小選挙区を25議席、比例区を20議席削減する定数削減法案を提出した。しかし、企業団体献金の受け手規制を強化する政治資金規正法改正法案が先に審議され、野党は「先入れ先出し」のルールに基づいて、政治資金規正法改正を優先。定数削減法案の審議に移りたい与党側は焦りを募らせた。

維新理事の動議で委員会が騒然

こうした中で、15日、委員会室が騒然となる事態が発生した。衆院政治改革特別委員会での参考人質疑が終わったとたん、維新の浦野靖人理事が「質疑を打ち切り採決を求める動議」を叫んだのだ。

これに対して、野党は反発。「企業団体献金問題は30年間決着がつかず、この2年間話し合いが行われ、そこそこ意見集約がされ始めた。公明党と国民民主党がたたき台を出してくれたが、“お経読み”(編集部註:法案の主旨説明)もさせない、自由討議もさせない。これが維新も含めて与党がやってきた態度だ。ほとんど議論せずに採決しようというのは、この議論を国会から葬り去ろうという話だ。そんなやり方にはわれわれは乗るわけにはいかない」。野党筆頭の立憲民主党の落合貴之理事はこう語る。

国民民主党の臼木秀剛理事も「維新の浦野理事は動議の提出理由について、『国民民主党に修正協議を提案したが、何も言ってこない』と述べたが、われわれは理事懇談会で丁寧な修正協議を行うべきだと主張してきた。責任をわれわれに押し付けるな」と憤った。

れいわ新選組の高井崇志委員は「そんなに急ぐのなら、どうして先週審議をやらなかったのか。与党は審議日程の提案すらしていない。修正協議以前の問題だ」と怒りをあらわに。有志の会の福島伸享委員は「ここで動議を出して審議が不正常になれば、参議院で審議している補正予算案にも影響を与えるだろうし、そもそも不正常な状態で定数削減法案が審議入りできるはずがない」と不快感を示した。

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