吉村代表「国会は茶番」発言が招く特大ブーメラン、"身を切る改革"の裏に見え隠れする維新の本当の狙い

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振り返ると、自維連立が成立した当初、維新にとって「議員定数削減」は最優先の課題ではなかった。

10月20日に自民党と維新が交わした「連立政権合意書」には、“12本の矢”として「経済財政関連施策」「社会保障政策」「皇室・憲法改正・家族制度等」「外交安全保障政策」「インテリジェンス政策」「エネルギー政策」「食料安全保障・国土政策」「経済安全保障政策」「人口政策および外国人政策」「教育政策」「統治機構改革」「政治改革」の順に並ぶ。

連立合意
連立政権樹立の合意書を交わす自民党の高市早苗総裁(右)と維新の吉村代表(写真:時事)

このうち、最後の「政治改革」に「企業団体献金のあり方の検討」「政党法制定」「衆院議員定数1割削減を臨時国会で実現」「時代にあった選挙制度の議論」の順に列挙されている。要するに、「企業団体献金」と「衆院定数是正」は同列扱いだったのだ。

なぜ定数削減が「センターピン」になったのか

そして吉村代表が当初、強調していたのは「統治機構改革」に含まれている「副首都構想」だった。

「私たちが絶対に譲れないのは、この『副首都』。東京一極に頼るのではなく、大阪・関西がもう一個の軸となり、ツインエンジンで日本を引っ張っていく。僕はそれを絶対にやるべきだと思っている」

10月16日に大阪・毎日放送の番組に出演した吉村氏は、「社会保障改革」と並んで「副首都構想」を「絶対に譲れない改革」と断言した。その背後には、2015年と20年に否決されたにもかかわらず、吉村氏が3度目の提出をもくろむ「大阪都構想」が見え隠れしていた。

すなわち、自民党と連立を組んだ当初の維新にとって、副首都構想は「1丁目1番地」といえるものだった。ところが、いつの頃からか、議員定数削減が「改革のセンターピン」に代わった。

議員定数削減によって、維新は大阪で躍進した。かつて定数が109議席だった大阪府議会は、22年には79議席まで削減。これにあわせて36選挙区が1人区となり、「多数派」の維新にとって有利になった。

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