〈HUMAN MADEとは何者か〉人気デザイナーの異色アパレル上場、「営業利益率20%超え」の底力。毎週投入の新商品を定価で売り切るモデルの中身
多くのアパレル企業は出店して売り場を広げながら、商品の供給量を増やして売り上げを伸ばしてきた。売れ残った在庫はたいていの場合、シーズン終わりにセールを行い、値引き処分する。
一方、ヒューマンメイドはそもそも在庫を作らないように、供給量を絞って販売する。国内での販路は自社店舗と自社ECのみ。商品政策の面でも、アパレル企業は主に春夏と秋冬のシーズン初めに新商品のラインナップを揃えるのに対し、同社は毎週新商品を投入する手法を採る。木曜日に新商品の情報をSNSなどで事前に告知し、土曜日の朝に店舗とECで発売する。
商品は値引きせず、発売開始した日の翌日には大半が売れるという。会社設立以来、定価での販売比率はほぼ100%を維持している。
高いヒット率を維持できる理由
当たり外れの激しいファッションビジネスで、毎週新商品を投入して、高いヒット率を維持できているのはなぜなのか。
1つは、顧客のロイヤリティの高さだ。ストリートからラグジュアリーまでジャンルを問わないデザイナーとして長く活動してきたNIGO氏は、ファッション好きの間で多くのファンを抱える。ヒューマンメイドの顧客はこうしたファンを中心に形成されてきたため、もともとNIGO氏が手がける新商品への期待値が高い。そこに毎週新商品の発売2日前に情報を流すという習慣化された仕組みが加わり、顧客の購買意欲を高める循環を生み出している。
データに基づいた需要予測も、ヒット率の高さに寄与している。ヒューマンメイドでは、クリエイターのアイデアを商品へと落とし込む過程で、経営側が過去の販売動向などの体系データと紐づけて、顧客がブランドに求める商品や商品構成はどうあるべきかの仮説検証を繰り返す。「需要予測なんて100%できるものではないが、数値化の精度を高めることはできる。計画と修正を緻密に繰り返し、計画立てて販売した結果へのアクションを迅速に行ってきた」(松沼CEO)。
中長期的には、NIGO氏の知名度に依存せず、継承される日本発のファッションブランドとして育てていくことを目標に掲げる。才能があるクリエイターのブランドを軸に、M&Aも視野に入れる。
会社規模が拡大した先でも独自のビジネスモデルを維持しながら、希少価値があるブランドを世界で展開できるか。異色の高収益アパレルの実力は、これから試される。
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