超有名医学誌が示す「脳の健康を害する」14のリスクの中身――女性が特に気をつけたい「4つの追加リスク因子」も新たに判明【医師が解説】

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視力と聴力のケアも見過ごせません。「少し見えにくい」「聞き取りにくい」と感じたら、歳のせいと放置せず、医療機関を受診してください。

眼鏡の度数を合わせる、補聴器の使用を検討する、定期的な眼科・耳鼻科検診を習慣にする。視覚と聴覚から脳に届く情報量を保つことで、視力障害による約2%、聴覚障害による約7%の認知症リスクを減らせます。

社会とのつながりを保つことも重要です。社会的孤立による認知症リスクは約5%。テレワークが定着した今、意識しないと人との接点が減ります。

週に1度は同僚や友人と直接会う、ランチは外に出る、趣味のサークルに参加する、オンラインでも雑談の時間を持つなど、人との会話や交流が、脳を刺激し続けるのです。

中年期の生活習慣病対策にも注意が必要です。肥満は約1%、糖尿病は約2%、高血圧は約2%、喫煙は約2%、過度の飲酒は約1%。それぞれが認知症リスクを高めます。

そして、日本人の多くが曝露されている大気汚染。この因子だけで約3%のリスクがあります。PM2.5濃度の高い地域に住む場合、空気清浄機の使用や、運動する時間帯を選ぶなどの工夫も必要でしょう。

見過ごされていた女性のリスク

ここまでは、男女ともに実践したい認知症リスク対策ですが、実は前述したランセットの報告には、見過ごせない問題がありました。2025年10月の論文で新たに指摘された男女差と経済的影響です。

世界の統計を見ても、認知症は男性より女性に多く見られます。国際的な研究では、認知症の人は女性が男性のおよそ1.7倍と推計されています。これは、女性のほうが男性より平均寿命が長いことや、高齢になるほど認知症の割合が高くなることが大きく影響しています。

しかし、先に挙げた認知症対策の恩恵を受けやすいのは、断然、男性のほうなのです。

では、いったいこの矛盾をどう解釈すればいいのでしょうか。

この問題を指摘した国際研究チームの答えは明確でした。ランセット報告には、女性に特に影響する重要なリスク因子が抜け落ちている、という意見です。

研究チームが新たに提唱したのが、4つの追加リスク因子です。

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