「今さらすぎる」「絵も手抜きでは?」との声も…大爆死『果てしなきスカーレット』の"テコ入れ施策"が波紋も「致し方ない」と感じるワケ
ここまで『果てしなきスカーレット』の新規プロモーション施策について綴ってきた。SNS上では批判の声が少なくないのだが、筆者としては「そこまで言わなくても……」と感じてしまった。別に「スカーレット」制作陣に身内がいるとかではなく、「もし自分がスタッフだったとしても、同じような施策をするだろうな」と思うからだ。
以下、「筆者の妄想」と断ったうえで綴っていくが……テコ入れ(だろう、おそらく)を決意した関係者たちは、きっと上述したようなファンからの意見が噴出することなどわかり切っていたはずだ。
細田守監督作品なら男性キャラのほうがニーズがある。こんな状況でプライドもへったくれもない。頭を下げて入場者プレゼントを描いてもらうべきだ──と。中には「貞本義行さんに頼んで描いてもらうといいかも」と思った人もいるかもしれない(※貞本さんは『時をかける少女』『サマーウォーズ』などでキャラデザを担当)。
しかし、実現しなかったのはさまざまな壁があったからだろう。もしかしたら、細田守監督に打診したものの、「主役はスカーレットなんだから、これまでのヒロインが描きたい」なんて言われ、調整した結果なのかもしれない。ヒロインだとファンはそこまで喜ばないかもしれないが、もはや時間もないし、背に腹は代えられずに「これでいこう」となって……。
と、妄想のわりにかなり具体的になってしまったが、炎上プロジェクトというのは大体似たようなものなので、案外そんな感じだったのかもしれない。
振り返ると前作『竜とそばかすの姫』では、公開4週目に興収33億を記録していた。『果てしなきスカーレット』との差は、約6倍以上もある。この状況で、“ランダム入場者特典の配布”というテコ入れをしてでも観客を増やしたいと思うのは当然だろう。
あらゆる調整に奔走し、細田守監督に「描きおろしイラストを描いてもらう」という、豪華すぎる入場者プレゼントの実施を実現させた関係者の努力を思うと、思わず胃が痛くなる。
「果てしなきスカーレット」の制作費が莫大な背景
CGWORLD (シージーワールド) 2026年01月号のインタビューによると、『果てしなきスカーレット』本編の約8~9割がCGで、キャラクターもほぼすべてCGで描かれているらしい。なんと、全体予算の約6割もの費用がアニメーション工程に充てられていたというのだ。
さらに、『竜とそばかすの姫』のCGカットは約40分だったのに対し、『果てしなきスカーレット』は約90分にも及ぶ。見ごたえのある群衆も含め、キャラクターの種類が多いため、従来の3年スパンではなく4年半の準備期間を経て公開に至った。
実は、本作はこれまでの細田守監督映画と大きく変わっている点がある。それは、アフレコ(映像に対して演者が声を当てる)ではなく、プレスコ(先に収録した演技をもとに表情を作る)収録になったことだ。これは、ディズニーやピクサー映画では主流であり、より演者の感情を表情に反映できるリアルな表現となる。
つまり、それだけの手間も費用もかかっている映画だということだ。加えて、スタジオ地図15周年『果てしなきスカーレット』で挑む世界でのプロデューサーインタビューによると、本作は破格のバジェット(予算)で作られたと綴られている。こうした事実を組み合わせると、制作費が非常に高額であることは想像にかたくない。



















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