「昭和の四季報」に刻まれたダイエーと松下の攻防… 《価格破壊》がメーカーに与えた衝撃

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ダイエーは成長軌道に戻らず

ダイエーの85年新春号では、低成長ながらも増益を確保していることを記載している。ただ、「不振スーパー四店は別会社化」など不採算事業の整理についての言及も目立ち、成長軌道には戻っていないことがわかる。
 

『会社四季報』1985年新春号

一方で松下電器は続伸としたタイトルのほか、「産業用電子機器は59年11月期1.1兆円から年率二割成長計画」と、高い成長計画についても記載されていて、勢いの差が顕著になっている。

『会社四季報』1985年新春号

電機メーカーの流通網に風穴を開けて消費者の支持を獲得したダイエーだが、今とは異なる高金利時代であったこともあり、その急拡大には限界がみられた。

対する松下電器は、自社の流通網が打撃を受けるという大きな危機を乗り越えて、VTRを国内外で販売し、非家電分野などの新たな収益源に育て上げ、80年代には日本の製造業を代表する企業となっていった。

田中 久貴 東洋経済データ事業局

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たなか ひさたか / Hisataka Tanaka

2013年東洋経済新報社入社。上場企業の財務データの編集やデータベース販売に関わった後、現在は企業調査部で『就職四季報』などの編集を行う。

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