"賞味期限"は意外と近い? 維新の「異常なイラ立ち」と自民党内で高まる「反乱機運」に透ける自維連立の脆弱ぶり

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2024年の衆院選で自民党と共闘していた公明党は、比例区で596万4415票を獲得したが、小選挙区では73万0401票しか得ていない。その差の多くは、小選挙区で擁立された自民党の候補に流れたと解することができる。それが自民党に入らなくなれば、小選挙区での自民党の議席数は激減するはずだ。

しかも、自民党の新たな連立相手となった維新は、選挙で共闘する予定はない。同党の吉村洋文代表(大阪府知事)は10月29日の会見で、現時点での自分の見解であるということわりを入れながら、「選挙協力は必要ないと思う」と述べ、「それぞれの政党が有権者の審判を受けるべき」とした。

もっとも、自民党も維新の選挙区に候補を擁立する予定で、12月5日には自民党大阪府連が2区、11区、14区、17区で候補者の募集を開始した。自民党京都府連も9日に、2区の候補の公募を開始した。およそ自公連立時代には考えられない「連立」のあり方で、自民党の中には維新に対する不信感も漂う。

「私のところに自民党の議員から、『定数削減案を審議しないでくれ』とのメールが寄せられている。非常識な集団が与党の一角を占めている」。10日に国会内で開かれた衆院定数削減に反対する集会で、有志の会の福島伸享衆院議員はこう述べた。

福島氏は衆院政治改革特別委員会のメンバーで、9日の委員会でも「定数削減案が自動的に45議席削減するなら、維新と立憲と有志の会が共同提案する企業団体献金禁止法案にも、同じ条項を入れるべきではないのか」と追及している。

揺れる自民、連立離脱をにおわす維新

そもそも、国民の多くが衆院定数是正に期待しているといえるだろうか。12月5~7日に行われたNHKの世論調査では、「議員定数削減」について「すみやかに削減すべき」という積極派は45%、「時間をかけて議論すべき」との慎重派は35%、「定数削減をする必要はない」という否定派が11%と、積極派と消極派がほぼ拮抗している。

それゆえだろうか、11月26日の党首討論では、政治資金問題について述べていた立憲民主党の野田佳彦代表に対して、高市首相は「そんなことよりも、定数是正をやりましょう」と積極的に提案して話題になったが、12月10日の衆院予算委員会で自維案が1割削減としている理由について問われたときには、高市首相は「以前に民主党が提出した案がそのくらいで、納得感が得られるレベル」と答弁し、一気にトーンダウンした印象だ。

一方で、維新の馬場伸幸前代表は9日にBS番組に出演し、「定数削減ができなければ、党内の獅子身中の虫を潰すために、高市首相は衆議院を解散すべきだ」と発言。さらに「あれもダメ、これもダメとダメダメ尽くしでは、協力できないということになりかねない」と、連立離脱の可能性も含ませた。

冒頭で触れた会見で、藤田氏がイラ立った様子を見せたのはそのせいなのか。自維連立の賞味期限は意外と短いのかもしれない。

安積 明子 ジャーナリスト

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あづみ あきこ / Akiko Azumi

兵庫県生まれ。慶應義塾大学経済学部卒。1994年国会議員政策担当秘書資格試験合格。参院議員の政策担当秘書として勤務の後、各媒体でコラムを執筆し、テレビ・ラジオで政治についても解説。取材の対象は自公から共産党まで幅広く、フリーランスにも開放されている金曜日午後の官房長官会見には必ず参加する。2016年に『野党共闘(泣)。』、2017年12月には『"小池"にはまって、さあ大変!「希望の党」の凋落と突然の代表辞任』(以上ワニブックスPLUS新書)を上梓。

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