ルーティンは、集中することへの引き金

 

プロゴルファー/小林浩美


 虫が地中から這い出して、さわやかな新緑の季節になりました。
 さて、ゴルフは18ホールプレーして、大体4時間程度かかります。あるとき、ゴルフはプレー時間が長いので、どうやって集中力を保つのですか、と聞かれたことがありました。
 プロの場合、18ホール4時間ずっと集中していることはまずありません。必ず、集中する時間と集中しない時間に分けます。では、集中する時間はいつか、といいますと、ショットやパットを打つ前のルーティンに入ったところから打ち終わるまでです。それ以外は、集中しない時間です。
 特に、歩いている時間はリラックスしています。たとえば、昨日の晩ご飯は何を食べたとか、最近のツアーであった身の回りの話や世間話など、キャディーやほかのプレーヤーとゴルフに関係のない話をしています。お話しすることによって、自分のペースでプレーできるプロはよくお話しします。反対に、プレー中はあまり話をしないほうが自分のペースでプレーできるプロもいるので、そういう人はあまりしゃべらない代わりに、景色を見ていたり、ロープの外を歩くギャラリーを見ていたりして、どちらの場合も自分の気持ちをゴルフにだけ集中しないよう切り離す努力をしています。それは、経験で18ホールずっと集中するのは難しく、最後まで集中しようとしても途中で途切れてしまうのがわかっているからです。

 

では、どうやってリラックスした後、集中力をすぐ発揮できるのか。それは、ルーティンです。
 ルーティンとは、ボールを打つまでの動作の手順のことを言いますが、同じテンポで同じことを毎回繰り返すのです。たとえば、私のルーティンは、(1)ボールの後ろから打つ方向を確認する。(2)その場で今打とうとするショットの素振りをする。(3)構える。(4)自分のリズムでスイングする。この四つの動作をショットやパットにかかわらず、同じ時間内に同じことを繰り返します。そうすることで、この動作(ルーティン)を始めたら、脳が打つのだなと理解し、一気に集中の世界に入ります。
 またそうすることで、機械的に動作が進行し、プレッシャーのかかる優勝争いやここ一番の大事な場面でも、余計な感情が入らず、やることに集中できるのです。結果、緊張しながらもいい結果を重ねられるようになります。

やはり、ルーティンが乱れると、プレーのリズムが不安定になり、今、やりたいことに気持ちが集中するのが難しくなります。同じ時間内にいつも同じ動作を繰り返すことは、反復努力で身に付けられます。打つときに集中し、それが終われば気持ちを解き放す。その繰り返しがゴルフです。
 ルーティンは集中することへの引き金であり、研ぎ澄まされた集中力でよりいいプレーが引き出せます。

 

プロゴルファー/小林浩美(こばやし・ひろみ)
1963年福島県生まれ。89年にプロ初優勝と年間6勝を挙げ、90年から米ツアーに参戦、4勝を挙げる。欧州ツアー1勝を含め通算15勝。現在、日本女子プロゴルフ協会(LPGA)会長。所属/日立グループ。

 

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