英語が得意だった私が「トイレ」で大恥をかいたまさかの事態 「bathroom」「restroom」「toilet」の違いは"画像検索"してみるとよくわかる
とにかく、私は信じていた。英語の成績が良い=英語が「できる」=英語が「使える」のだと。そして数年後、その思いは打ち砕かれることになる。
大学で第1外国語として学び始めたフランス語は、じつに成績が芳しくなかった。そのため、卒業後、短い会社員生活を経て飛んだフランス・パリでの最初の半年ほどは英語を頼りとしていた。
昔から、「フランス人は英語で話しかられると無視をする」などと言うが、下手なフランス語しか使えない外国人が不憫だったのか、筆者の場合、むしろフランス人から英語で返されることがよくあった。
私の完全な敗北
とはいえ英語でやりとりをするのは悔しい。英仏のちゃんぽんでなんとか切り抜けた。ほかにも、国際都市パリでは、困っているときに英語圏の人に助けられることもあった。そのなかには「フランス語が上達せず英語だけで暮らして10年経つが、パリでは一切問題ない」と語る人もいてひどく驚いたこともある。
あるいは、母語の異なるメンバーが集まったパーティで、その場の共通語が英語になることもあった。すると悔しいことに、筆者のターンになるとしばしば話がうまく流れない。フランス人による、フランス語交じりの英語のほうがよほど伝わっていた。
高校時代までの蓄積、大学受験のために詰め込んだ私の英語の完全な敗北であった。単語やイディオムは相当な数を暗記していた。でも、それをベストなタイミングで、ベストな選択で繰り出せなかったのだ。
多国籍パーティでの手痛い体験から、フランス語と同時に英語力も何とかできないかと思うようになった。とはいえ、時間は有限だ。そして筆者は怠け者だ。できるだけ楽をして得を取りたい。
ところで、パーティで、フランス人たちのほうがスムーズにコミュニケーションをとれていた理由のひとつは、口ごもることなく言葉を繰り出せていたからだろう。フランス語は日本語よりずっと英語に近い。発音どころか、文字も文構造もまったく異なる日本語とは大違いだ。
英単語の約80%は、フランス語とラテン語を語源としているから、基本的に、単語を置き換えた直訳で何とかなる。発音が多少おかしかろうと、綴りが同じかほぼ同じ単語がごまんとあるのだ。
もちろん、英語でfalse-friend、フランス語でfaux-amis、直訳すると「偽の友達」と呼ばれる「空似言葉」もある。フランス語があやふやな留学当初、本屋も図書館も充実しているパリで、「library/bibliothèque」と「bookshop/librairie」を混同して友だちとうまく落ち合えなかったことは微笑ましい思い出だ。



















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