東京スカイツリー効果で「モノづくり」復権狙う東京・墨田区
地元への経済波及効果は880億円--。東京スカイツリーのおひざ元、東京都墨田区は、スカイツリーによる経済効果をこう試算した。
ツリー目当てに押し寄せた来訪者が、飲食やショッピングなど区内でおカネを落とすことで地元経済は潤う。
もっとも、ツリーから徒歩で約10分、隅田川を越えた先には、年間約1000万人以上が訪れる東京有数の観光地、浅草がある。「ツリーから(浅草がある)台東区に観光客が流れてしまい、墨田区におカネが落ちにくいのでは」との懸念の声も多い。
観光客増がモノづくりのルーツ
ただし、ツリー観光による収入増加は墨田区の行政が期待する一面でしかない。ツリー効果を地元産業の中心である中小製造業の活性化につなげることを狙っている。
明治以降に繊維、金属、印刷加工などの軽工業が発達した墨田区には、今も多くの町工場がひしめく。また江戸の切子、桐たんすなどの職人技も受け継がれる。中小製造業は今も墨田区の主要産業だ。
しかし、国内製造業の空洞化や後継者不足に悩まされ、1970年に約9700あった工場数は、今や3分の1にまで減少(図)。逆境は続いている。