DV、借金、モラハラ夫に子連れ逃避…"一度人生をはみ出した2人"が、娘のために「別居・事実婚」を選ぶ理由

✎ 1〜 ✎ 305 ✎ 306 ✎ 307 ✎ 308
著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小
晩婚さんいらっしゃい!
子どもたちが自立するまでは、同居もせず「事実婚」を貫く2人。その理由とは……?(イラスト:堀江篤史)

夫婦で一緒にいると、安心感があって穏やかな笑いも多くなる。良き結婚か否かを分ける単純な基準だと思う。ちょっと遅めの結婚をした人にインタビュー取材をしている本連載では、取材時の発言よりも、表情や話し方からその結婚の良し悪しを判定できる気がする。

2024年の春に結婚を果たした旧知の安藤勝彦さん(仮名、50歳)とZoom画面越しに再会したとき、筆者の口から自然と「よかったですね。おめでとうございます」という言葉が出てきた。短髪で眼鏡をかけている勝彦さんは細身の体型と優しげな表情。それは以前と変わっていない。介護の仕事も続けている。しかし、うっすらとあごひげを生やし、落ち着きと精悍さのようなものが増した気がした。

その傍らには、事実婚の相手である小沢留美さん(仮名、47歳)がやはりにこやかな表情で座っている。色白でショートカット、ややボーイッシュな雰囲気の女性だ。筆者が質問するたびに明るい笑い声を立ててきさくに答えてくれる。

それぞれ、壮絶な人生を送ってきた2人

いかにも幸せそうな2人。大阪の町でお互いの家まで「自転車で10分」の距離感で、別居婚かつ事実婚をしている。勝彦さんは初婚だが、留美さんには離婚歴があり3人の娘のシングルマザーだ。それぞれ若い頃は家族関係で壮絶とも言える経験をしている。だからこそ、心穏やかなパートナーと過ごす時間を慈しめているのかもしれない。

勝彦さんは幼少期に事故で父親を亡くし、母親の再婚相手からDVを受けて家から追い出された。母方の祖父母に引き取られたが、祖父は借金を苦に自殺。残された祖母と勝彦さんが懸命に働いて返済した。

次ページ最愛の祖母の死
関連記事
トピックボードAD
ライフの人気記事