DV、借金、モラハラ夫に子連れ逃避…"一度人生をはみ出した2人"が、娘のために「別居・事実婚」を選ぶ理由

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「大学生になるタイミングで、次女は私の姓に変えると言ってくれました。勝った!と思った出来事でしたね」

次女が奨学金をもらっている都合上、留美さんと勝彦さんは婚姻届を提出していない。勝彦さんの収入が加わると奨学金の支給が打ち切りになるからだ。また、4人で一緒に住むことについても、三女が賛成する一方で次女は反対している。6年ほど別々だった母親を今さらながら独占したいのだろう。父親似の身勝手な性格とも言えるが、勝彦さんは意に介していない。

「距離感を間違えてはいけない、と自分に言い聞かせています。僕はあくまで『ママのパートナー』で彼女たちの父親ではありません。説教臭くなって小沢さん(留美さん)を困らせるべきではないと思っています。でも、個性的な3人の子どもたちがそれぞれどんな大人になるのか楽しみですし、近くにいる大人としてなるべく助けてあげたいです」

お互いの家が近いこともあり、「週2で会って1泊できる」関係性に満足しているという勝彦さん。生命保険の受取人を留美さんにするには法律婚の必要があり、そこだけが気がかりだという。

留美さんの次女も、なにも勝彦さんを嫌っているわけではない。「なんで私よりも先にママが彼氏作るのー」と不満を表明しつつも、お酒を飲んで陽気になった留美さんに「相手したくないからかっちゃん(勝彦さん)のところに泊まって」と命じるらしい。愉快そうに話してくれる留美さんを、勝彦さんは嬉しげに見守っている。

子どものために保留中した「新婚生活」を夢見て

「祖母のお墓参りも2人で行くことができました。この人に決めたよ、と報告できたんです」

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留美さんの体は、勝彦さんとの子どもは望めない。勝彦さんも気持ちを切り替えて、「いつか(留美さんの)子どもたちに僕の過去を説明して、祖母のお墓に連れて行きたい」と願っている。

子どもたちは数年後には自立するだろう。勝彦さんと留美さんが同居して「新婚生活」を始めるのはそれからだ。若い頃の苦労と悲しみがなければ、出会うことのなかった2人。今も楽しいけれど、数年後にはもっと良いことが待っている。彼らの人生は結果として輝かしいものになった。

本連載に登場してくださる、ご夫婦のうちどちらかが35歳以上で結婚した「晩婚さん」を募集しております(ご結婚5年目ぐらいまで)。事実婚や同性婚の方も歓迎いたします。お申し込みはこちらのフォームよりお願いします。
大宮 冬洋 ライター

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おおみや とうよう / Toyo Omiya

1976年埼玉県生まれ。一橋大学法学部卒業後、ファーストリテイリングに入社するがわずか1年で退社。編集プロダクション勤務を経て、2002年よりフリーライター。著書に『30代未婚男』(共著、NHK出版)、『バブルの遺言』(廣済堂出版)、『あした会社がなくなっても生きていく12の知恵』『私たち「ユニクロ154番店」で働いていました。』(ともに、ぱる出版)、『人は死ぬまで結婚できる 晩婚時代の幸せのつかみ方』 (講談社+α新書)など。

読者の方々との交流イベント「スナック大宮」を東京や愛知で毎月開催。http://omiyatoyo.com/

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