DV、借金、モラハラ夫に子連れ逃避…"一度人生をはみ出した2人"が、娘のために「別居・事実婚」を選ぶ理由

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「お金のためにいろいろなことをやって25歳で借金を返し終えましたが、心身がしんどくなりしばらく働けませんでした。パチプロのようなことをして暮らしていた時期が長かったです」

そんな勝彦さんが立ち直ったきっかけは、最愛の祖母の死だった。人生をやり直そうと思って就職したのが介護業界。38歳のときだった。

「それなりに恋愛はしていましたが、結婚しようとは思えませんでした。『自分は一度世の中からはみ出した人間で結婚なんてしたらいかん』と、自己否定の気持ちが強かったのだと思います」

しかし介護という適職で力を発揮しているうちに、勝彦さんの心境に前向きな変化が生じた。余裕が生まれるにつれ、亡き祖母が寂しそうに「お前の子どもを抱かせてもらえなかったな」と言っていたことも思い出した。

いつか、子どもと一緒にお墓参りをしたい

「晩年は介護が必要だった祖母は、自分の存在が僕にとって“足かせ”になっていると思っていたのでしょう。そんなふうに思わせてしまったことが心残りで、結婚して子どもをもって一緒にお墓参りをしたくなりました。介護福祉士の資格が取れていっぱしの職員になれたのも大きかったです」

すでに43歳になっていた勝彦さんは、同僚にも相談しつつマッチングアプリや結婚相談所で婚活を開始。しかし、結婚に至る交際はできなかった。友人に指摘されて修正した悪癖もある。生活習慣などで譲れないことを、初対面の相手にすぐ伝えてしまう点だ。

「40年以上も生きていると、食べ物の好き嫌いなど、簡単に変えられないことは誰にでもあると思います。でも、それを先に伝えてしまうのは、後からバレてフラれることで自分が傷つきたくないから。卑怯だし下手くそです。後からやんわり伝えるのも相手への配慮で優しさなんだと気づいた頃、小沢さんに出会いました。あのタイミングだからこそ、彼女と仲良くなって結婚できたのだと思っています」

その留美さんは、勝彦さんが掛け持ちでアルバイトをしていた介護施設の職員だ。2023年の秋に世話焼きな同僚が飲み会を設定してくれて、プライベートでも会うようになった。出会いについて留美さんはこう証言する。

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