4代目プリウスのデザインはカッコ悪いのか この外観にはれっきとした理由がある

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この低重心構想は開発の初期段階で決まっており、児玉氏、北沢氏とも、それをベースに個々の作業を進めていった。全長4540×全幅1760×全高1470ミリメートルというボディサイズも、2人がかかわる前にだいたい決まっており、デザインや空力のために「長く」「低く」したワケではないそうだ。

なぜ、低重心化をしたのか

その条件のうえで北沢氏が構築したのが、トライアングル・シルエット。2代目で導入された、真横からのプロポーションが三角形に見える造形だ。ただ三角形の頂点は、2代目から3代目に移行する際に後方に移動させたのに対し、4代目では前方に170ミリメートル戻した。

もうすぐ新型に切り替わる現行の3代目「プリウス」(写真:梅谷 秀司)

「3代目では、後席の頭上空間を広げるべく、トライアングルのピークを後ろに持って行ったのですが、今回は低重心設計でシートを低くできたので、それよりも空力を重視しました。ピークから後ろをなだらかにすることが空気抵抗を減らすのです」(北沢氏)

そしてフロント側は低重心設計でエンジンフードが低くなった。4代目と3代目を比較して、エンジンなどのパワートレインは約10ミリメートル下がっただけだが、ボンネットとフロントウインドーの間にある外板部のカウルは実に62ミリメートルもダウンしている。

4代目は赤をメインのイメージカラーに打ち出している(撮影:尾形 文繁)

しかもボンネットやフロントバンパーなどで構成するフロントノーズが延ばされたので、4代目は2~3代目のようなワンモーションフォルムではなく、多くの車と同じようにボンネットとフロントウインドーの境目に段をつけるカタチになったのだ。

この造形は副次的効果も生んだと筆者は考えている。ノーズが独立し、ルーフのもっとも高いところのピークが前進したことで、力感や勢いを感じられるようになった。これは低重心化によって走りを良くするという開発目標と一致する。中身を体現したシルエットともいえる。

低くなったのはフロントノーズだけではない。4代目はリアゲート後端のスポイラーも、3代目より55ミリメートル低くなっている。低くしたほうが走行中にボディ後部で発生する乱流を少なくできるからだ。でも全高は20ミリメートル低いだけなので、そのままではルーフからの傾斜が強くなり、空気がスムーズに流れなくなる。ここにもトライアングルのピークを前に出した理由があるというわけだ。

これでプロポーションは決まった。では賛否両論のフロントマスクはどういう考えから生まれたのか。

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