自分自身を深く理解していないし、適切な現状把握ができていないがゆえに、現時点の自分にとって適切ではない目標設定をしがちであるというように、ゴールの設定がそもそも間違えている。この根本的な理由に加えて、実行面でも知的好奇心や行動力がないため、「やらない」という選択肢を選びがちだ。
現状維持ほど、人間にとって楽なことはない。そして、現状維持とはこの場合、「やらない」という意味だ。
逆に言えば、自分自身の適性や性格、現状の自分自身にとっての優先順位などを踏まえたうえで適切な目標設定ができており、なおかつ、その実行へ向けたモチベーションが高ければ、目標達成は容易ということでもある。
自分自身を理解するというと、「理解していて当然」と考えてしまう人が多い。だが、ここで言う「理解」とは深いレベルでの理解であり、強み・弱みといったものだけではなく、人生において大切なものや、生きるうえでの志、将来的に人生・キャリアにおいて成し遂げたいこと、というようなマクロ的なものに加えて、自分自身の思考回路だったり、思考や行動のクセというミクロの部分も含む。
「マクロ的に自分を理解する」とはどういうことか
前者については、要は自分自身の価値観や人生観において、自分は何のために存在し、何が譲れないことであり、何を目指しているのか、という大所高所の視点で自分自身を理解しているかという、そもそも論の前提をキチンと理解しているかが問われる。
なぜそれが大事なのかというと、マクロ的な視点で自分が向かうべき大きな方向性を設定し、それをブレークダウンしたうえで短期的なゴールの設定へつなげるためであり、人生において生じた短期的または一時的な事象やノイズに対する迷いを払拭するための大方針や軸としての役割を果たすからだ。
想定外の出来事やつらいこと、悲しいことを乗り越え、短期的な視点で決断を下すことなく、人生の歩みを止めずにいられるのは、最終的な拠り所として、この「軸」が存在するからだ。
例えば、会社が嫌になったから転職だ、もしくは今よりも好待遇で誘いがあったから転職だ、と短絡的に考えるのではなく、最終的なゴールと照らし合わせたうえで、今は何が重要であり何をするべきかを考えたり、現在の職場と新たな職場の比較を待遇以外の利点などを含めて冷静に見ることによって、「逃げ」として、もしくは「変化のわかりやすい行動」としての転職ではなく、「意味のある攻めのキャリアアップ」につなげられる。



















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