「タイパ」を連呼する若手に、泥臭いおじさんが圧勝できるAI時代ならではの理由

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今の若手は、無駄を嫌い、最短ルートで正解に辿り着こうとする傾向が強まっています。実際に私も、ある大企業から「若手向けの講演」を依頼された際、人事担当者からこんな悩みを聞きました。

人事の方いわく「『もっとスマートなやり方があるはず』『もう十分泥臭くやったのに、いつまで同じやり方を続けるのか』と考える若手が増えている。泥臭く経験を積むことが単なる下積みではなく、いかにビジネスパーソンとして大事なのかを彼らに伝えてほしい」ということでした。

「スマートにやりたい、泥臭い仕事は避けたい」。これは現代の若手社員に広まっている価値観のようです。しかし、ここに落とし穴があります。

彼らが求めている「論理的に正しくて、無駄のない答え」というのは、実はAIが最も得意とする領域なのです。「過去のデータを分析して、最適な販売予測を出して」と言えば、AIは人間よりも正確かつ高速に答えを出します。

つまり、泥臭い経験を避け、スマートに正解だけを知ろうとする姿勢は、「AIが知っていることをなぞる経験」しか積んでいないことを意味します。これでは、いくら知識を詰め込んでも、彼らは「劣化版AI」にしかなれません。

「腹落ち」の正体は、脳ではなく「身体」にある

一方で、泥臭い経験を重ねてきたビジネスパーソンが持っているのは、AIが知らないデータです。

「理屈は合っているのに、なぜか客が激怒した」
「データ上は勝ち戦だったのに、現場の空気で負けた」
「ロジックは破綻していたが、情熱だけで稟議が通った」

こうした、非論理的で割り切れない「泥臭い経験(=AIが学習していないデータ)」を大量に持っていること。これが、AI時代における最強の差別化要因になります

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