「下着姿、撮らせてあげなよ」最悪の"いじめっ子"中学2年生女子に迫る「最恐の復讐者」の正体 『子供部屋同盟』6章②

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そのころから奈央は、スマホで物騒なワードの検索を繰り返していた。ふと、どこかで聞いた“5ちゃんねる”という掲示板のことを思い出す。詳しくは知らないが、その掲示板はほぼ無法地帯で危険な情報のやり取りがされているらしい。

でも奈央は親に、インターネットを厳しく制限されていた。スマホには子供用のフィルタリングが掛けられていて、ほとんどのサイトを見ることができない。やはり5ちゃんねるも、奈央のスマホからはアクセスできなかった。

ある午後、母がパートで留守のときに、奈央はこっそり父の部屋へ入った。父のデスクには、仕事で使う銀色の薄型ノートパソコンが置いてある。奈央は父のデスクまわりの物を動かさないようにして、慎重にノートパソコンの蓋を開けた。

電源スイッチを入れると、Windows11という画面が無音で立ち上がり、パスワードを求められた。試しに父の誕生日を入力してみる。エラーになる。父の名前をローマ字で入力してみる。やはりエラーになる。何度もエラーが続いたら画面がロックされて、ノートパソコンに触れたことが父にバレるかもしれない。諦めてシャットダウンしてノートパソコンの蓋を閉じ、そっと部屋を出た。

隠し持ったナイフを握り締めて

その後、奈央は自室のベッドで仰向けになって、折り畳みナイフの刃を出したり畳んだりしながら、ぼんやりと天井を眺めていた。と、枕元でスマホが震えた。結衣からのLINEだった。

──なおなお、町内会の夏祭りいく?

──まだわかんない

──いくなら一緒にいこうよ

──うん、考えとく

──まぁ、町内のおばちゃんの焼きそば食べれるくらいだしね

──うん

──でも花火は見られるよ

──そうだね

──最近なんかおすすめの音楽とかある?

──最近はあんまり音楽きいてないかな

──そっか

──うん

──なおなお、わたしのこと嫌いになってないよね?

──え?

──クラスが替わってから、なんだか冷たい気がするよ

     *

木村はあの放課後の一件から、奈央に干渉しなくなった。必要最低限の当たり障りない会話しかしない。

それが余計に不気味でもあった。また何か悪事を企てているのかもしれない。悪事を実行に移すための計画を練っているのかもしれない。

奈央は木村の一挙一動に、敏感に反応した。額に脂汗を滲ませながら、制服の内ポケットに隠し持ったナイフを握り締める。

そして六月半ばに、あの体育の授業の日が訪れたのだ。

高橋 弘希 小説家

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たかはし ひろき / Hiroki Takahashi

小説家。青森県十和田市生まれ。2014年、『指の骨』で第46回新潮新人賞を受賞。2017年、『日曜日の人々(サンデー・ピープル)』で第39回野間文芸新人賞を受賞。2018年、『送り火』で第159回芥川賞を受賞。他の作品に『朝顔の日』『スイミングスクール』『高橋弘希の徒然日記』『音楽が鳴りやんだら』などがある。

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