わが社がまさかの“債務超過”!? 衝撃を呼ぶ退職給付会計の基準見直し

わが社がまさかの“債務超過”!? 衝撃を呼ぶ退職給付会計の基準見直し

バランスシートの負債が資産を上回る「債務超過」と言えば、会社にとって破綻一歩手前、と言っても過言ではない。上場企業ならば、上場廃止基準に引っかかる一大事だ。

人体で言えば、メタボで糖尿病、心臓弁膜症を併発。すぐさま集中治療室に入らなければ、いつ心筋梗塞を起こしてもおかしくない、といったところ。だが、会計基準が変わっただけで債務超過に陥ると聞いたら、どうだろうか。健康診断でオールAだったのに、余命数カ月と宣告されるようなものだ。

そんな異常事態が日本企業を襲おうとしている。

退職給付の会計基準見直しを企業会計基準委員会(略称・ASBJ)が決議し、5月17日に記者会見をした。会見に応じたのは、ASBJ委員長の西川郁生氏(新日本監査法人出身の公認会計士)、ASBJの新井武広副委員長(東京証券取引所出身)、ASBJの常勤委員で退職給付専門委員会(TC)の都正二委員長(新日本製鉄財務部出身)、ASBJの主席研究員で退職給付TCの小賀坂敦委員、ASBJの専門研究員で退職給付TCの前田啓委員。

今回の退職給付会計の見直しについて、「1998年の導入時(当時の新基準適用は2000年4月から)に次ぐ大きな改正」と都氏は指摘する。前回の基準見直しでは、都氏の出身母体である新日鉄など、重厚長大で社歴が長く、従業員を多く抱える大企業が、退職債務の一括償却で最終赤字に転落するなどしたことから、大きな注目を集めた。

会社には、従業員の企業年金や退職金を将来にわたって支払い続ける義務がある。これを「退職給付債務」と言う。それに備えて、会社は年金資産を積み立て、資産運用している。年金資産と退職債務の差額を「退職給付引当金」として引き当てなければならないが、一挙に引き当てる必要はなく、一定期間を用いて、分割払いの要領で引き当てている。

 

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