三越伊勢丹、免税品を除いた売り場の実態 大西社長、「消費の状況はよくない」の真意
一方、免税品の販売は好調を維持している。中国は8月11日~13日にかけ、対ドルで人民元の基準値を3日連続切り下げ、「人民元ショック」が市場を揺るがした。1元=20円台から一気に18円台半ばまで円高が進んだため、訪日客数の減少が懸念されたが、足元では1元=19円台前半まで戻っており、円高の進行には歯止めがかかった。
免税販売が好調な理由は円安だけではない。2014年10月からの免税対象品の拡大、2015年1月からのビザ発給要件の緩和、日中間のLCC(格安航空会社)の増便、さらに日本製品への信頼感も「爆買い」を後押ししている。こうした複合要素の下支えがあるため、どれか一つが欠けたとしても直ちに免税販売が大きく落ち込む可能性は低くなっている。下期の免税品売り上げは上期実績の300億円に対し400億円を計画。当面は拡大基調が続きそうだ。
新宿店、日本橋店で大規模改装を予定
国内消費の不振に対応するため、三越伊勢丹HDは基幹店の改装を積極的に行う。今年10月に、約50億円を投資して三越銀座店のリモデルを実施。10月の同店の売り上げは前年同月比18%増、予算比でも5%増と出足は順調だ。
2016年から2017年にかけては、伊勢丹新宿店の食品・レストランフロアと三越日本橋店のリモデルを計画。大西社長は「新宿店のレストランは食事のためにわざわざ足を運んで頂けるように変えたい。営業時間の延長も検討している」とコメント。日本橋店に関して具体案は明かされなかったが、「アート、ラグジュアリーを切り口とした商品構成を考えている」(大西社長)とした。
2016年3月期の通期業績に関して、同社は売上高1兆3100億円(前期比3.0%増)、営業利益370億円(同11.8%増)と増収増益の見通しを立てている。ただ、これは少数の訪日客と富裕層による高額消費の貢献によるところが大きい。収益基盤を厚くできるかは、多数を占める中間層を店舗へ呼び込めるかどうかにかかっている。
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