初の党首討論は「敵と味方」峻別戦略で無難にこなしたが… 高市首相"安全運転"に不満を示す《食えない味方》

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斉藤氏は討論後、「将来的な非核三原則の堅持を確認できずに、非常に残念だ」としたうえで、「引き続き、しっかりと監視し、われわれの意見を伝えていきたい」と高市氏への対決姿勢を強調した。

党首討論に初登壇となった参政党の神谷氏は「国民は『政治とカネ』の問題や議員定数よりも、国力が落ちて生活が苦しくなっていることに不満を持っていると感じている。その一因となっている、国民の情報や富を奪い国に損害を与える行為を止めたい」として、参政党が前日の25日に、党独自のスパイ防止法案を参議院に単独で提出したことを紹介。高市首相の法整備に向けた構想をただした。

高市首相は「スパイ防止法という名前になるかわからないが、インテリジェンス・スパイ防止関連の法制をつくらなければいけないというのは、自民党の参院選の公約にも書いた」と説明。「基本法的なもの、外国代理人登録法、ロビー活動公開法などについて今年、検討を開始し、速やかに法案を策定するということを考えている」と前向きの対応を示した。

神谷氏も「この法案については、われわれも一緒にやれることだと思うので、ぜひ積極的に進めてほしい」と注文したが、質疑は時間切れで尻切れとんぼに終わり、その後の記者会見で「スペシウム光線が打てなかったウルトラマンみたいになった」と苦笑した。

“守りの答弁”に連立パートナー・維新は不満げ

今回の45分間の討論について、政界関係者の多くは「真剣勝負との触れ込みだったが、対決も協調も中途半端で、国民の心に響く応答もなかった」(政治ジャーナリスト)と嘆息しきり。与党内でも、今回の党首討論での「高市答弁」への違和感や不満を口にする幹部が少なくない。

なかでも、多分野での「連立合意」の実現を求める日本維新の会からは、党首討論での高市氏の「守り優先の安全運転の姿勢」(自民党幹部)に対して、「改革を求めるわが党の方針とは相いれない。このままならいつでも(連立)離脱も考えなければ」(維新幹部)といった不満が漏れてくる。

そうした状況下、自民党内には「支持率が高いうちの衆院解散断行」を求める動きが急拡大している。「単独過半数は無理でも、今やれば20議席は増え、維新に振り回されることもなくなる」(若手有力議員)という見立てからだ。

高市首相は「(解散など)そんな暇はない」と繰り返すが、政界では「党首討論での応答を見る限り、政権安定化への意欲と執念は強まっている」(政治ジャーナリスト)との見方も少なくない。それだけに、「これから年明けまでの1カ月余りは、言い古されてきた『一寸先は闇』の混迷政局が続く」(自民党長老)ことになりそうだ。

泉 宏 政治ジャーナリスト

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いずみ ひろし / Hiroshi Izumi

1947年生まれ。時事通信社政治部記者として田中角栄首相の総理番で取材活動を始めて以来40年以上、永田町・霞が関で政治を見続けている。時事通信社政治部長、同社取締役編集担当を経て2009年から現職。幼少時から都心部に住み、半世紀以上も国会周辺を徘徊してきた。「生涯一記者」がモットー。

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