初の党首討論は「敵と味方」峻別戦略で無難にこなしたが… 高市首相"安全運転"に不満を示す《食えない味方》
さらに野田氏が首相答弁による日中関係悪化の責任をただしたのに対し、高市首相は「首脳会談で戦略的互恵関係を包括的に構築し、安定的で建設的な関係を構築していくことを確認した。そして、お互いに懸念や課題があった場合には、首脳同士のコミュニケーションを通じて解決していくことを確認した。現在、高市内閣ではこの方針を堅持している。日本はつねに中国に対して、対話に関しては建設的、またオープンだ。今後この対話を通じて、より包括的な良い関係を作っていく。そして国益を最大化する。これが私の責任だと感じている」という“逃げ口上”でかわした。
また、政権発足後に加速している円安について、野田氏は「物価高対策は急務だ。とくに食卓を中心に、まさに食料インフレだという状況であるので、早く手を講じなければいけない」と指摘。「高市円安的な流れだ。円安は明らかに物価高を助長していく。輸入物価が高くなれば、今も物価高なのにさらにインフレを助長していく。円安も含めて、マーケットの警鐘と受け止めないか」と問うた。
これについて、高市首相は「さまざまな状況を見ながら、日本国政府としては必要な手立てを講じていく。高市円安なのかどうかわからないが、マーケットの動きは国債金利にしても為替にしてもしっかりと注視していく」と述べるにとどめた。
国民民主党には「一緒に関所を乗り越えよう」と秋波
続いて登壇した玉木氏は、まず2021年以来訴え続けたガソリン暫定税率廃止が今年末に実現する見通しになったことへの謝意を伝えた。そのうえで、持論である「年収の壁」の178万円への引き上げについて「3党合意が実現できるなら、政治の安定のための環境づくりにも協力する」と、暗に連立政権入りの可能性もにじませて、高市氏の覚悟を尋ねた。
これに対して、高市首相は「手取りを増やすことはもちろん賛成だし、働き控えも少なくしていかないといけない。政策目的は一緒なので、さまざまな工夫をしながら、しっかりと一緒に関所を乗り越えていきましょう」と笑顔で応じた。
一連の対応について、首相周辺からは「国民民主党が補正予算に賛成してくれれば、事実上の連立参加で政権が安定する」と期待する声が広がる。
3番目に登壇した公明党の斉藤氏は「唯一の戦争被爆国の日本がぶれて非核三原則を見直すようなことがあっては、核廃絶は夢のまた夢だ」と述べ、見直しに強く反対するとともに「見直す場合には国会決議が必要だ」と指摘した。
高市首相は「政策上の方針としては堅持している。『持ち込ませず』については、民主党政権だった22年の岡田克也元外相の答弁を引き継いでいる」と踏み込んだ答弁を避け、斉藤氏が求めた被爆者との面会についても返答しなかった。



















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