「ローカル鉄道演劇」の旅!舞台は走る列車内

「グルメ列車」の次に来るのはコレだ

公演を鑑賞して驚くのは、秒単位で計算された緻密な構成だ。公演は、定期列車に貸切車両を増結する形で行われるため、芝居の都合で運行ダイヤを変えるわけにはいかない。それにも関わらず、ひとつひとつの台詞が実際に見える車窓風景や停車駅と密接にリンクしており、ひとつの物語を作りあげている。

「ある車窓風景が見える場所を”ここだよ”とお芝居に盛り込むことは、役者にとってとてもハードルが高いことです。でも、お客さんに喜んでもらえますし、役者にとっても挑戦になるので、敢えて挑んでいます」(緑川氏)

その「ハードルの高さ」を実感する出来事が、11月6日のリハーサル時に起きた。ある車窓ポイントで、タイミングを合わせて言うべき台詞が、15秒もずれてしまったのだ。その原因は、車両の性能にあった。

新旧の車両の違いで演技を変える

公演は定期列車に増結した専用車両で行う

公演は、定期列車に併結した1995年製のキハ3710形で行うことになっており、東京では事前に撮影した車窓ビデオを見ながら稽古を重ねていた。

だが、一般の乗客向けに併結される車両は毎日変わる。リハーサル時に併結された車両は、1966年製造のキハ2004で加速性能が大きく劣っていた。

そのため、キハ3710形も本来の性能を出せず、駅を発車してから車窓ポイントを通過するまでの時間がビデオより15秒も遅れたのである。翌7日の公演初日も旧型車両が併結されたため、台詞を追加してタイミングを合わせたが、8日は新型車両2両による運行となり、またタイミングが変わってしまった。

「8日の列車は加速がすごくて、間をつめてタイミングを合わせました。駅に停車する時も、減速のタイミングが違うので景色を見ているだけではなかなか合わなくて苦労しました」(出演者の谷口礼子さん)

鉄道車両は、天候によってもブレーキ性能などが変わり、微妙にタイミングが変わる。ローカル鉄道演劇は、定時性に優れる日本の鉄道だから実現できた設定だが、毎回秒単位で内容が変わるのである。

次ページ少ない定員、採算性に課題
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