乗客増加なぜ続く?「千葉モノレール」社長に聞く 初の年間2000万人突破、今後の課題は「老朽化」

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――財務について。コロナ禍前の2018年度と2024年度の年間輸送人員および旅客運輸収入はほぼ同水準だが、2018年度は純利益が10億円近くあったのに対し、2024年度は3億円弱に減少している。これは設備投資がかさんでいるためか。

設備投資に加え、電気代を含む諸物価や人件費の高騰、さらに設備の老朽化にともなう点検の強化に関わる費用なども増加している。だが、交通事業は安全第一であることから、これらの費用は削ることができない。

では、財務の健全化という観点でどのような対策が打てるかという話になるが、私がこれまで所属していた千葉市と比較すると、当社は社内事務のシステム化等がおくれているので、DXを進めるなどして効率化を図れる部分がある。また、本社ビルの屋上に太陽光発電のソーラーパネルを設置し、本社内の省電力化を図る予定である。同様の設備は千葉公園駅にも設置している。

さらに、インバウンドの取り込みができていないのも課題と感じている。千葉都市モノレールは世界最長の懸垂型モノレールとしてギネスブックにも掲載されている。今後はこうした観点の情報発信も強化し、インバウンドの取り込みにも注力していきたい。

千葉都市モノレール 走行シーン
千葉市役所付近を走行するモノレール車両(筆者撮影)

「高い運賃」は下げられる?

――利用者からは運賃が高いとの声が上がっているが、これについてはどう考えているか。

以前からそのようなご意見があるのは承知しているが、諸物価が高騰している状況から、現状で値下げに踏み切るのは難しい。じつは1995年に運賃を改定して以降、消費税率の変更以外では値上げは一度も実施しておらず、その意味で経営努力していることはご理解いただきたい。

とはいえ、千葉から千城台までの片道運賃が480円、往復で1000円近くになることから高額であるのは間違いなく、その代わりに630円で乗り放題となる「フリーきっぷ」を販売している。もともとは比較的空いている昼間の時間帯の利用を促す目的で発売した切符であり、平日は10時から18時までの時間限定での利用となるが、千城台方面の長区間利用のお客様に多数ご購入いただいている。

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