会社にとっての優等生が、知らぬ間に「劣化版AI」に成り下がる決定的理由

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過去のデータを再現する仕事とは、定型化された業務です。例外が少なく、論理的に答えが決まるような業務といえます。そういった「過去のデータに基づいて、ミスなく仕事をこなす」という領域は、AIの独壇場なのです。

これまで「仕事ができる」と評価されていた、ソツなく業務をこなす人、無難な調整が得意な人。彼らが目指してきた「失敗しない働き方」は、皮肉なことに「AIが得意なこと」と完全に被っています。

AIよりも遅く、コストがかかり、疲れを知る人間が、AIと同じ土俵で「失敗しない競争」をしても勝ち目はありません。「失敗しないこと」を目指した瞬間、人間の仕事は「劣化版AI」に成り下がってしまうのです。

よって、人間がAIと違う土俵で勝負するには、必然的に「非定型な仕事」、つまり答えが常に変動する仕事を選ばなければなりません。

AI時代の仕事は「肉を切らせて骨を断つ」

では、AI時代に人間がやるべき仕事とは何でしょうか。それは、AIが持っていないデータ、つまり「あなただけの経験知」を作ることです。

AIにインプットされているのは、あくまで学習可能な公開情報です。人間同士の会話や個別の施策の結果など、「動いてみなければわからない情報」は、AIには学習されません。

私自身の経験をお話ししましょう。かつて私がモバイルゲームのマーケティング責任者として、1カ月で5億円規模の広告投資を決断し、目標の2倍以上のリターン(成果)を叩き出したプロジェクトがありました。翌月には投資を回収するなど、大きな利益を生んだ施策でした。

なぜ、それほどの成功を収められたのか。いろいろな理由はありますが、最も大きかったのは、その大勝負に出る前に、数千万円規模の「失敗」を経験していたからです。

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