江崎:生まれたときの真っ白な状態から成長して最適化されると選択肢が消えるんです。人間の学習はすごく効率的なんですが、頭が固くなってしまい、イノベーションや創造性にとってはすごくマイナスのことが起こっています。
黒田:だから、そこをAIにやらせようということですね。
江崎:そうです。AIってアホなので想像しないことをできるからいい。それからもう1つ、黒田先生がおっしゃったことを分かりやすく言うと今のエヌビディアは昔のアメ車です。ガソリンを食いやがって、うるさくて、でも、カッコいい。
瀧口:分かりやすいですね。
江崎:ところが、次にはやるのは日本車なんです。
今、両教授が注目する企業とは?
瀧口:よりスマートに、そぎ落とされていくんですね。そういう具体例として江崎先生が注目されている企業ってありますか。
江崎:スタンフォード大学からスピンアウトして、サン・マイクロシステムズ(現オラクル)の出身者が一緒に創業したサンバノバ・システムズ(SambaNova Systems)という会社があります。
黒田:僕も好きな会社です。
江崎:いいですよね。僕は実際に見学に行きました。
瀧口:どういったところが推しポイントなんですか。
江崎 データフロー型で、チップの中の内部メモリーをたくさん持っている。外部アクセスが少ないので、すごく速いんですよ。 それからRISC-V(リスクファイブ)のようにオープンソースの回路をつくるところがたぶん面白いことを始めそうな気がしています。
加藤真平(以下、加藤):投資のチャンスとしては、今までのコンピューターよりも、新しいコンピューターのほうがいいんですかね。
江崎:短期利益を狙うなら、だいたい今、元気がいい企業にすればいいですが。5年、10年という長期利益を得るために、その次を考える場合は、今後その技術がどうなるかが分かっているかどうかは大きいですよね。
著者フォローすると、瀧口 友里奈さん・黒田 忠広さん・江崎 浩さん・加藤 真平さんの最新記事をメールでお知らせします。
著者フォロー
フォローした著者の最新記事が公開されると、メールでお知らせします。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら
著者をフォローすると、最新記事をメールでお知らせします。右上のボタンからフォローください。
たきぐちゆりな / Yurina Takiguchi
1987年神奈川県生まれ。東京大学文学部社会学専修卒業。SBI新生銀行社外取締役。在学中にセント・フォースに所属して以来、『100分de名著』(NHKEテレ)、『ニュースモーニングサテライト』(テレビ東京)、『CNNサタデーナイト』、経済専門チャンネル『日経CNBC』等の司会やキャスター。また、日米欧・三極委員会日本代表を務めるほか、2021年より東京大学工学部 アドバイザリーボードを務める。また、東京大学公共政策大学院の修士課程に在学中。2023年「東大教授が語り合う10の未来予測」発刊
著者フォロー
フォローした著者の最新記事が公開されると、メールでお知らせします。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら
著者をフォローすると、最新記事をメールでお知らせします。右上のボタンからフォローください。
くろだ ただひろ / Tadahiro Kuroda
東京大学卒業。東芝研究員、慶應義塾大学教授、カリフォルニア大学バークレー校(UC Berkeley)MacKay Professorを歴任。現在、東京大学特別教授、熊本県立大学理事長、慶應義塾大学名誉教授。米国電気電子学会と電子情報通信学会のフェロー。半導体のオリンピックと称される国際会議ISSCCで60年間に最も多くの論文を発表した世界の研究者10人に選ばれる。著書の『半導体超進化論 世界を制する技術の未来』(日経プレミアシリーズ)は、英語、中国語(簡体字と繁体字)、韓国語に翻訳されている。
江崎 浩
東京大学大学院 情報理工学系研究科 教授
著者フォロー
フォローした著者の最新記事が公開されると、メールでお知らせします。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら
著者をフォローすると、最新記事をメールでお知らせします。右上のボタンからフォローください。
えざき ひろし / Hiroshi Ezaki
1987年、九州大学工学部電子工学科修士課程修了。1998年に東京大学大型計算機センター助教授、2001年東京大学情報理工学系研究科助教授。2005年に東京大学情報理工学系研究科教授、WIDEプロジェクトボードメンバー(2011年より代表)。デジタル庁初代チーフアーキテクト。「左手に研究、右手に運用」を合言葉に、日本初のインターネット「WIDE Internet」を基盤として研究に従事。ほかにも、ビル設備機器の通信仕様をオープン化することで、設備のグリーン化と収益性向上の両立を目指した「東大グリーンICTプロジェクト」を創設。主な著書は『サイバーファースト インターネット遺伝子が創るデジタルとリアルの逆転経済』(インプレス)など。
著者フォロー
フォローした著者の最新記事が公開されると、メールでお知らせします。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら
著者をフォローすると、最新記事をメールでお知らせします。右上のボタンからフォローください。
かとう しんぺい / Shinpei Katoh
2008年、慶應義塾大学大学院理工学研究科開放環境科学専攻後期博士課程修了。カーネギーメロン大学、カリフォルニア大学客員研究員、名古屋大学大学院情報科学研究科准教授、東京大学大学院情報理工学系研究科准教授を歴任。2015年、株式会社ティアフォー創業。2018年、The Autoware Foundation 設立。現在、ティアフォー代表取締役CEO、The Autoware Foundation フェロー、東京大学大学院工学系研究科特任准教授、名古屋大学未来社会創造機構客員教授。国際的なコンピュータサイエンスの研究者として知られ、数々の著名論文を発表したほか、それらの成果を応用した自動運転ソフトウェア「Autoware」を開発し、オープンソースとして全世界に公開したことで注目を集める。2022年に文部科学大臣表彰科学技術賞を受賞。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら