ラトビアが「欧州の戦略拠点」と呼ばれる理由。ユニコーン輩出より強力な"テストベッド"戦略
バルト三国の中央、ラトビア共和国。人口約190万人。この小国が、いま欧州のスタートアップシーンで注目されている。
理由は隣国のエストニアのSkypeやリトアニアのNordVPNのような、世界的なユニコーン企業の「輩出実績」ではない。現地の関係者も、その点でラトビアが遅れていると認める。ラトビア初のユニコーン企業「Printful(プリントフル)」が誕生したのは、ごく最近だ。
彼らが前面に打ち出すのは、国全体を「機能的なエコシステム」として設計した国家戦略である。
Case 1:売り上げ80%がアメリカ、頭脳はリガ
ラトビアの戦略を体現するのが、ユニコーン企業「Printful」だ。Eコマース運営者向けに、Tシャツやマグカップなどのオリジナルグッズを製造・配送する「プリント・オン・デマンド(POD)」で最大手に登り詰めた。
事業構造が面白い。2013年、ラトビア人創業者がアメリカ・カリフォルニア州で設立。売り上げの約80%はアメリカ市場だ。ところが、IT開発、財務、マーケティング、カスタマーサービスといった本社機能は、すべて創業者の故郷であるラトビアの首都・リガに置いた。ラトビアのIT人材が、グローバルビジネスの頭脳になった。



















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