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ラトビアが「欧州の戦略拠点」と呼ばれる理由。ユニコーン輩出より強力な"テストベッド"戦略

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  • 石井 徹 モバイル・ITライター
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Startup House Rigaのクリスティアンス・イェンシウスCEO(筆者撮影)

このNPOハブは民間だけでは動いていない。ラトビア政府やリガ市が深くかかわる。

リガ市は「リガから創業者へ(FROM RIGA TO FOUNDERS)」というプログラムで、入居スタートアップのオフィス賃料を最大70%補助する。経済省もアイデア段階の起業家を支援するアクセラレータープログラムのスポンサーだ。

「創業者から創業者へ(FROM FOUNDERS TO FOUNDERS)」というプログラムもある。先輩創業者らの寄付(16万ユーロ以上)を原資に、初期スタートアップの賃料を6カ月間、月100ユーロ割り引く。官民一体の支援で、Startup House Rigaは開設から1年半で、入居13社が合計1000万ユーロ(約18億円)以上を調達した。

Case 3:小国を武器に変える国家戦略

この強力なエコシステムを支えるのが、ラトビア投資開発庁(LIAA)主導の国家戦略だ。Why Latvia?(なぜラトビアか)。この問いに対し、彼らは「小国」を戦略的な「武器」として打ち出す。

1. 欧州市場の「公式テストベッド」

LIAAのサンタ・ザルベ=ソログバ氏(シニア・スタートアップ投資プロジェクトマネージャー)が挙げた事例が象徴的だ。ドイツの巨大港湾が、入港する貨物船を管理する新ソリューションの導入を検討した。だが、巨大な港でいきなりテストはできない。システムがダウンすれば莫大な損害が出る。

LIAAのサンタ・ザルベ=ソログバ氏(筆者撮影)

そこで「テストベッド」に選ばれたのが、ラトビアのリガ港だった。規模が小さく柔軟なリガ港でソリューションを完璧に動かし、その実績を持ってドイツの巨大港に実装した。

欧州進出を狙う日本企業も同じ手が使える。ラトビアで製品・サービスを検証し、実績を作ってから欧州主要国に展開する。ラトビアは優秀な技術者と柔軟な環境で、4億5000万人のEU市場に向けた「公式テストベッド」の地位を築いた。

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【日本企業にとってラトビアはEU市場への入り口】

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