インドネシア新規制で資源調達に新たな試練
5月以降、ニッケル鉱石の日本への輸入が止まる──。インドネシア政府による輸出規制をめぐり、非鉄金属業界が揺れている。
問題となっているのは、今年2月6日にインドネシアで施行された大臣令で、3カ月後に銅やニッケルの原料である鉱石の輸出を禁じるという内容。大臣令では、同国内で鉱石を地金にまで製錬することを義務づけている。背景には、自国の製錬業を育成したいとの思惑がある。
「発表からたった3カ月で、現地に製錬所を建設できるわけがない」。業界では、そんな戸惑いの声が続出する。ただし、インドネシア政府による発表内容はあいまいで、現地報道を基に、禁輸措置には例外規定が設けられるなどの憶測も飛び交った。
結局、発動日とされた5月6日を過ぎたが、「実際に輸出が禁じられたかどうかは不明。(大臣令に書かれた)3カ月という期間がうやむやで、交渉は終わっていない」と経済産業省の担当者は戸惑う。今後、鉱石輸入が滞る懸念は残ったままだ。
ステンレス生産に影響も
今回の問題の発端は、インドネシア政府が2009年に施行した新鉱業法にある。同法では、インドネシア国内で採掘された鉱物を利用するには、同国内で製錬するという「高付加価値化」が定められた。