「こんなにきれいなのは信じられない」東京ステーションホテルのハウスキーピングを見学した他社が驚くワケ

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「アテンダントの皆さんも含め、ここは特別なホテルになるぞ、という思いで来てくださっている方が多かったんです。だから、本当に細かなところまでマニュアルに落とし込んでくださって。清潔さが今も保たれているのは、これも大きいと思っています」

東京ステーションホテルのハウスキーピングの評判を聞き、他のホテルのハウスキーピングから見学の申し出もあるという。

「案内をすると、こんなにきれいなのは信じられない、と言われます。これは私もうれしいんですが、ただそれはハウスキーピングだけの努力ではない、というのもあります」

営繕係の存在も大きい。毎日、客室を回って、細かなメンテナンスを行い、常に傷や故障を修繕している。これが、部屋を傷ませないのだ。

「従業員用のバックヤードも営繕係が気を配って細かくペンキを塗ったりもしていますから、ここもこんなにきれいにしているのかと驚かれます。バックヤードには清掃スタッフも気を配っています。みんなこのホテルが、本当に好きなんだと思います」

スタッフ全員が目を光らせている

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そもそもホテルで方針として掲げ、総支配人の藤崎もよく発信しているのが、清掃するのはハウスキーピングだけではない、というものだ。

「ロビーのスタッフも、雨が降ったり雪が降ったりしたら自分たちで床をきれいにしますし、レストランのスタッフも、お客様が椅子(いす)に何かをこぼしてしまった、となれば、まずは自分たちでなんとかしようと考える。当たり前と思われるかもしれませんが、ホテルでは案外、当たり前じゃなかったりするんです。分業を重視しているところも多いですから」

東京ステーションホテルはそうではない。自分たちでなんとかする。ただ、どうしようもなかったら、ハウスキーピングに連絡が来る。

「そういう文化が、もうすっかり根づいているんです。だから、自分たちで常にきれいにしようとする。レストランのスタッフにしても、宴会のスタッフにしても、自分のフィールドに大変な誇りを持っています。だから、大事にもする。定期的に営業時間外に専門の清掃会社に入ってもらっていますが、ここの清掃が甘い、ここがまだまだ、など厳しい連絡がスタッフから来たりもします。遠慮はまったくないです」

それを、清掃会社にフィードバックしていくのが、福田の役割だ。ハウスキーピングのスタッフが直接、見に行かなくても、みんなが目を光らせてくれている、という。これが、館内の圧倒的な清潔感につながっているのだ。

上阪 徹 ブックライター

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うえさか とおる / Toru Uesaka

ブックライター。1966年、兵庫県生まれ。早稲田大学商学部卒業。ワールド、リクルート・グループなどを経て、1994年、フリーランスとして独立。経営、金融、ベンチャー、就職などをテーマに、雑誌や書籍、Webメディアなどで幅広くインタビューや執筆を手がける。これまでの取材人数は3000人を超える。他の著者の本を取材して書き上げるブックライター作品は100冊以上。2014年より「上阪徹のブックライター塾」を開講している。著書は、『1分で心が震えるプロの言葉100』(東洋経済新報社)、『子どもが面白がる学校を創る』(日経BP)、『成城石井 世界の果てまで、買い付けに。』(自由国民社)など多数。

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