「こんなにきれいなのは信じられない」東京ステーションホテルのハウスキーピングを見学した他社が驚くワケ
福田は1974年生まれ。2012年の再開業前の準備室に入社している。キャリアのスタートはドラッグストア勤務。2年経(た)ち、もっと多くの人と接してみたいと外資系ホテルに転職。ここで、ハウスキーピングの仕事と出会った。
「掃除もそうですが、細かい仕事が好きだったんです。ただ転職したホテルでは、客室清掃ではなく、備品の発注や、普段の清掃で行き届かないところの特別清掃を担当していました。大変さもありましたが、ホテル運営の裏側を見られる面白い仕事でした」
そしてこの外資系ホテルで、もう一つの出会いがあった。のちに東京ステーションホテルの総支配人となる藤崎斉(ふじさきひとし)だ。福田はその後、体調を崩して退職、別の仕事を7年ほどしていたが、藤崎のことはよく覚えていた。
「当時、藤崎はその外資系ホテルの宿泊部長でしたが、部屋に呼んでもらって退職の事情をじっくり聞いてもらって。そこで、福田君を失うのはすごく惜しい、と言ってもらえたのです。福田君は誰も見ていなくてもバックステージのゴミを拾える人間だから、とも。実は私が心がけていたことでした。こういうことを見てくれている人が本当にいるんだ、と思って」
体調が戻り、別の会社で仕事をしているとき、藤崎が東京ステーションホテルの再開業の準備を進めていることを知った。藤崎とまた一緒に働きたい。それが入社の何よりの動機だった。
「東京ステーションホテルについては、まったく知りませんでした。それ、どこにあるんだろう、と思って当時は工事中だった東京駅に来て、実は駅舎のほとんどがホテルだったんだということを知りました」
廊下を飾るアートワーク〈ヒストリーギャラリー〉の原点
藤崎とは面識はあったが、普通に履歴書を出して一般公募で応募した。ホテル勤務からブランクがあったが、それでも経験を買ってもらえたと語る。
藤崎からは、こう言われたことを覚えている。〝自分たちがカッコいいと思うことではなく、お客様から求められたことに誠実に応えられるホテルでいたい〞。そして、スタッフの行動指針「Our Promise(アワープロミス)」を入社初日に渡された。読み込んでおけ、と。



















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