【アジアンクロスカントリーラリー3年ぶりの総合優勝】三菱自動車の名門ブランド「ラリーアート」活動のカギを握るタイで強める存在感

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また、それ以外でもSSの途中に設けられている中間サービス、その日のLEG終了後にメンテナンスを行うサービスパークでのメカニックの動きには驚くばかりだった。限られた時間しかない中間サービスでは全員でクルマに飛びかかるように作業がはじまり、サービスパークでは夜を徹しての作業が進められる。

中間サービスでのメンテナンス風景
中間サービスでのメンテナンス風景(写真:三木 宏章)
中間サービスが学校内に設定され、普通に授業が行われているあたり、東南アジアの国タイらしさを感じる
中間サービスが学校内に設定され、普通に授業が行われているあたり、東南アジアの国タイらしさを感じる(写真:三木 宏章)

そして面白いのが、現地ディーラーのメカニックがアジアンクロスカントリーラリーに参加しているということ。勝つことだけを考えれば、専門のメカニックで揃えるところだが、モータースポーツを通じた人材育成、さらに仕事へのやりがいにつなげてほしいという想いから現地ディーラーのメカニックがチームに参加。こういった考え方もラリーアートがタイで受け入れられている理由のように感じた。

その結果、悲願だった3年ぶり2度目の総合優勝を果たし、さらに2号車の田口選手は総合5位、社員ドライバーの小出選手は総合22位で完走。ゴール後のセレモニーでは、選手とチームメンバーが健闘を讃え合う姿は感動的だった。

ラリーアートの今後とタイの今

表彰式で喜びを爆発させるチーム三菱ラリーアート
表彰式で喜びを爆発させるチーム三菱ラリーアート(写真:三木 宏章)

タイでは活発なラリーアートだが、日本国内で活動を目にすることは少ない。日本国内でもラリーアートブランドとして「エクリプスクロス」や「デリカD:5」のアイテム、またアパレル関連を展開しているが、それも限られている。時代的にモータースポーツやサブブランドなどに投資することも容易くないだろう。

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だが、その活動はブランド価値を高めるために重要だと思うし、昔のようにモータースポーツから生まれた機能パーツや特別仕様車などが登場すれば、三菱自動車やラリーアートの新たなファンを生む可能性が十分にあるのではないか。事実、タイではラリーアートというブランドを活用しながら、三菱自動車のモータースポーツイメージを高めているので、日本での展開も期待したい。

三菱自動車は、2025年11月5日にタイ・レムチャバンにある第3工場を2027年に休止することを発表。タイでは、ローン審査の厳格化で三菱自動車に限らず、自動車メーカーの多くが販売の苦戦を強いられている。しかし、タイからはじまった新生ラリーアートというブランドの火を絶やさないでほしいと切に願いたい。

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三木 宏章 東洋経済オンライン編集者・記者

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みき ひろあき / Hiroaki Miki

1984年5月5日生まれ。三重県出身。鳥羽商船高等専門学校・電子機械工学科卒。チューニングカー雑誌の編集者としてキャリアをスタート。その後は、パソコン/スマートフォン/ガジェット等の雑誌編集、ITコンサルティング会社にてWEBコンテンツ企画・製作等を担当。得意分野は自動車を中心にものづくり全般。また、過去に1年半で17ヶ国、バックパッカーとして放浪した経験もあり。

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