【アジアンクロスカントリーラリー3年ぶりの総合優勝】三菱自動車の名門ブランド「ラリーアート」活動のカギを握るタイで強める存在感

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7月に三菱自動車の本社で行われたアジアンクロスカントリーラリー2025壮行会の様子
7月に三菱自動車の本社で行われたアジアンクロスカントリーラリー2025壮行会の様子(写真:三木 宏章)

さらに安全のためにタイ-カンボジア国境付近の競技区間がキャンセルにもなったが、それでも総走行距離2316.32km(うち競技区間1002.95km)という長丁場。ハイスピードセクションから岩場や川渡りと、クルマにも人にもきびしいレースだ。

そんなアジアンクロスカントリーラリーにチーム三菱ラリーアートは2022年から毎年参戦しており、思い入れも深い。チーム三菱ラリーアートを率いる増岡総監督は、「初参戦で総合優勝できましたが、現行型トライトンを投入した昨年、一昨年と惜しいところで優勝を逃してしまいました。今年こそ王座奪還を目指します」と、事前の壮行会で力強く答えたことが印象的だった。

3台のトライトンを投入

アジアンクロスカントリーラリーに挑んだチーム三菱ラリーアート。競技車両は、エンジンの耐久性や足まわりなどの熟成を図ったピックアップトラック「トライトン」で、サポートカーとして4台の「デリカD:5」も帯同
アジアンクロスカントリーラリーに挑んだチーム三菱ラリーアート。競技車両は、エンジンの耐久性や足まわりなどの熟成を図ったピックアップトラック「トライトン」で、サポートカーとして4台の「デリカD:5」も帯同(写真:三菱自動車)

今年のチーム三菱ラリーアートは、競技用マニュアルトランスミッション(MT)を搭載した1号車&2号車に加え、三菱自動車の社員ドライバー・小出選手がドライブする3号車という3台のトライトンでレースに望んだ。3号車は、前を走る1号車&2号車にトラブルがあったときにサポートする役割もあるが、こちらはオートマチックトランスミッション(AT)を採用している点も面白い。

これは、泥道などにタイヤが埋まってしまい動けなくなった車両を救出する際にMT車よりAT車のほうが適しているという意味のほか、モータースポーツから市販車へフィードバックする開発的な側面も持つ。ラリーアートのモータースポーツ活動は、レースで勝つことだけではなく、市販車の高性能化を見据えた技術検証も課せられているのだ。

最終日のLEG8、スタート時間のギリギリに間に合い走り出す1号車
最終日のLEG8、スタート時間のギリギリに間に合い走り出す1号車(写真:三木 宏章)

そんなアジアンクロスカントリーラリー2025に帯同し、取材して感じたのがラリーアートの技術とチーム力、そしてタイに根ざした体制だった。例えば、最終日のLEG8では、パタヤ市内からレース区間(SS)に向かう道中、その時点でトップを快走していた1号車(ドライバー:チャヤポン・ヨーター選手/コ・ドライバー:ピーラポン・ソムバットウォン選手)にトラブルが発生。その際に後続の小出選手が修復作業に加わり、SSスタート地点にギリギリ間に合うというシーンがあった。

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