古すぎるゲームを復活させるのは、もはや難しいのか? リメイク版「ドラゴンクエスト」が賛否両論の理由

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否定的な意見としては「面倒すぎる」といったものが多い。確かに、ひとりしかいないのに即死呪文を食らうのはおもしろくないし、場合によっては「攻撃→敵が回復→攻撃→敵が回復」といったループにハマることもあり、不愉快な側面もある。

これは受け取り方の問題なのでどちらが正しいというわけではないのだが、そもそもなぜこうも意見が割れる状況に陥るのかといえば、それはやはりパーティーメンバーがひとりだからだろう。ひとりではどうしても限界があるのだ。

ひとりでは行動がひとつしかできないため、戦略の幅はほどんどない。勇者が覚える呪文・特技もそこまで種類がない。ではどうボスに対抗するのかといえば、それはボスの攻撃パターンを知り、レベル上げをして装備を整えるというものである。

たとえば本作の勇者は、レベル32になると「フバーハ」という呪文を覚える。これはブレス攻撃のダメージを軽減するもので、そのころにちょうど強いブレス攻撃をしてくるボスと出会うのだ。これは調整が見事とも言えるし、見方を変えれば「レベル32まで上げないとまず勝てないゲーム」ともいえる。

筆者としては、HD-2Dリメイク版『ドラゴンクエストI』の高難易度バトルはかなり「ドラクエらしい」と捉えている。レベル上げや装備集めなど地道な行動をすれば強いボスにも勝てるというのは、古典的なRPGの魅力だからだ。

古すぎるゲームはリメイクも容易ではない

ドラゴンクエストI&II
初代「ドラクエ」は39年ほど前の作品だ。もはや文脈の違う古典といってもよいかもしれない(画像:任天堂公式サイトより)

では、この高難易度化は悪い選択だったのか? 正直、これ以外はあまり手段がなかったように思う。

結局のところ、パーティーメンバーがひとりである以上はできることが少なすぎるのである。これはリメイクするにあたっての大きな足かせになっていたはずだ。

もちろん、対応策が思いつかないわけではない。たとえば思い切ってアクションRPGにするだとか、そこまでせずともバトル中に敵の攻撃を防ぐアクション要素を入れてもよかったかもしれない。あるいは、パーティーメンバーを増やしてしまう選択もある。

だが、そこまで手を入れるとリメイクの範疇を越えてしまう。なにより「ドラゴンクエスト」シリーズは保守的なRPGであることがアイデンティティでもあるわけで、そこまで大胆な手法は極めて難しいのではないか。

あまりにも古いゲームを現代に蘇らせ、しかも元の作品の要素を生かそうとすると限界が見えてしまう。結局のところ、それが今回の賛否両論の原因ではないのだろうか。

渡邉 卓也 ゲームライター

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わたなべ たくや / Takuya Watanabe

いわゆるテレビゲームを専門にコラム・評論などの記事を書くライター。大学卒業後はサラリーマンになったが、満足にゲームを遊べない環境にいらだちを覚えて転身。さまざまなメディアにゲーム関連の記事を執筆。駄作に対して厳しく書いてしまうことでも知られる。

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