一方、日本の保守的価値を守る立場は堅持し、過度の外国人受け入れに反対する立場を鮮明に打ち出すようになった。
このように参政党の政策はまだ流動的だが、公式サイトにある「参政党の政策」や広報紙「DIYタイムズ」と、25年下院選挙に向けたAfDの選挙プログラムから重要政策を抜き出し、比較した表を掲げる。

参政党はウクライナ戦争に関して、現在も掲載されているホームページの記事「ウクライナのゼレンスキーは愛国者か?」(22年3月15日付)で、「ゼレンスキー大統領がロシアを執拗に挑発し、それに耐えかねてロシアが侵攻してくれば和平を拒否し、徹底抗戦のふりをしてウクライナを破壊した」と述べ、ゼレンスキー大統領はユダヤ系であり、当時の米バイデン政権が一番得をしたと指摘している。
プーチン大統領が国際法を無視し、ゼレンスキー政権転覆を目的に侵略したとの認識、それへの批判はない。政府が掲げた公的な立場とは矛盾する、陰謀論が背景にあるとみられる外交姿勢で、AfDの親ロシアの国際認識と相通じる面がある。
「極右」というより「右派ポピュリズム」
このようにAfDと参政党の政策は、多くの問題でほぼ共通している。そこを貫くのは、次のようなイデオロギーとみていいのではないか。
こうした政治運動をどう定義づけるかは議論がある。
ドイツの憲法擁護庁(日本の公安調査庁に当たる)は、極右を「民族や国民の属性がその人間の価値を決定すると仮定する(考え方)」と定義している。人種理論を根底に置く「国民(国家)社会主義(ナチズム)」がその典型である。
確かに(1)のイデオロギーが極右に当てはまる可能性はある。ただ、(1)は保守思想にも含まれる考え方である。(3)も反体制イデオロギーに通じるが、AfD、参政党とも民主主義を否定してはおらず、むしろ直接民主主義をもっと導入すべきという主張である。
私がドイツで一般のAfD支持者にインタビューした範囲では、彼らは確信的な排外主義者ではなく、現状への不満、不安の解決を期待しているだけである(詳しくは拙著『本音化するヨーロッパ 裏切られた統合の理想』)。
アメリカのトランプ共和党、欧州各国で支持を伸ばしている新興右派政党を含め、「右派ポピュリズム」という独自の性格を持った政治運動ととらえた方が、実態をよりよく説明できるのではないか。



















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