サナエノミクス「責任ある積極財政」のワナ 成否のカギを握る企業への"賃上げ圧力"
GDPはたしかに足し算ですが、政府支出を増やしてGDPが増えるのは、他の3つの要素が減らないことを前提とした特殊なケースです。唯一のケースではありません。
例えば、政府支出を増やしても、国内の生産供給が増えずにインフレになるケースが考えられます。その結果、名目GDPは増えても、実質GDPが増えないという事態も起こりえます。
また、政府支出の増加分が国内の生産供給ではなく、海外からの輸入に回った場合、(輸出ー輸入)のマイナス幅が広がり、GDPが増えないケースもありえます。
さらに、政府支出を増やしたときに、生産供給が増えずに民間の消費が減ることも考えられます。日本のように人手不足の状況下では、政府が公共工事を増やしても、建設業は雇用を増やせず、民間からの注文を後回しにしてしまいます。これではGDPは増えませんし、実際に起きていることです。
これまでの日本政府の動向を見ても、多額の政府負債が増加したにもかかわらず、GDPはあまり伸びていません。積極財政を危惧する人々は、対GDP政府負債が上昇し続けていることから、今までの財政出動がGDP成長につながっていない事実を特に強調します(図表)。
企業の行動こそが重要だった

逆に積極財政を主張する人々は、政府支出を増やせば、個人消費も設備投資も増えると興奮気味に主張します。ここに最大のポイントがあります。それは企業の行動です。
実はアベノミクスは企業の行動によって潰されたのです。





        
        
        
      
        
      
          
          
          
          
        
        
        
        
        












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