ハワイの鉄道「スカイライン」延伸で巻き返せるか 沿線で住宅開発、バスと連携し車からの転移狙う
100万人に迫るホノルル市郡の人口は現在も増加が続く。そのためホオピリ駅周辺のニュータウン開発は住宅不足解消の決め手として期待されている。最終的な完成は2032年の予定だ。
この住宅開発は公共交通指向型開発(TOD)と呼ばれるもので、鉄道駅など公共交通の拠点を中心に、住宅、商業施設、オフィスなどを集約させるという手法だ。ハワイ大学ウエストオアフ校や日本の東海大学系列である短期大学、ハワイ東海インターナショナルカレッジのキャンパスもこのエリアに誘致された。
ハワイは典型的な車社会であり、朝夕の通勤時間帯は主要な道路が大渋滞する。これ以上の渋滞を防ぐためにも、新たな住宅開発においてTODの採用は必然といえた。TODという用語は1990年代から用いられるようになったが、日本で古くから実践されてきた阪急や東急の沿線開発もTODの成功事例である。スカイラインは国と時代を超えて、その系譜を継ぐことになる。将来、新たに開発されたエリアに移り住む人たちは、スカイラインを当然のものとして日常的に使いこなすのだろう。
利用者数少なくても「10分間隔」維持
第1期の開業時、初日から数日間は物珍しさも手伝って多くの乗客でにぎわったが、その後の状況はお世辞にも好調とは言えなかった。例えば2025年9月の1日当たり利用者数は3983人。1列車当たり27人にすぎない。4両編成なので1両に6〜7人しか乗っていない計算だ。
ホノルル市のリック・ブランジャルディ市長は「第1期の利用者数は1日5000~1万人程度」と見込んでいたが、その予測には達しなかった。市民の間からは「誰も乗らない」「空気を運んでいる」という指摘が相次いだ。
こんな状況下でもスカイラインは朝5時から夜7時まで10分間隔で運行していた。そのため、「コストを削減するために運転本数を減らしてはどうか」という声も上がった。しかし、ブランジャルディ市長は意に介さず、「第1期は利用者数にはこだわらない。利用者数という指標が重要になるのは第2期からだ」と話し、10分間隔の運行を継続した。


















無料会員登録はこちら
ログインはこちら