ハワイの鉄道「スカイライン」延伸で巻き返せるか 沿線で住宅開発、バスと連携し車からの転移狙う

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利用者が少ないのは理由がある。そもそも第1期区間の沿線には旅客需要を喚起しそうな場所が少ないのだ。目ぼしい施設はカレッジフットボールの試合が行われるアロハスタジアム、ハワイで2番目に大きいショッピングモールのパールリッジセンターといった集客施設もあるが、毎日通うという人は少ないだろう。利用者を増やすためには空港など通勤需要が期待できる場所に駅がある第2期区間の開業が必須なのだ。

Honolulu Skyline Routemap
【写真】スカイラインの車両。日立製の自動運転電車だ

にもかかわらず、第1期区間だけを先行して開業した。もともとの予定では2017年に開業しているはずだったが、資金難により建設が大幅に遅れており、利用者が少ないという批判を覚悟で、一部区間だけでも先行開業する必要があったのだろう。

その意味で第2期開業が本番であり、運行時間も朝4時から夜10時半までに延長された。利用者数の目標は「1日2万5000人程度」に引き上げられた。第1期の実績と比べると高い目標だが、これが本来の目標といえる。「第1期は機能面で必要性が高い区間とはいえず、第2期が開業してようやくスカイラインの機能が発揮される」とブランジャルディ市長は話す。

運行開始の前日に関係者を招いて行われた開業式典でホノルル市交通サービス局のJ・ロジャー・モートン局長は、「ホオピリ駅の近くに住んでいる人は、今まで渋滞の高速道路を車で1時間運転して、駐車場からシャトルバスで15分かけて空港まで通勤していたが、これからはスカイラインに乗って25分で勤務先に通えるようになる」と具体的なメリットを説明した。

ダニエル・K・イノウエ空港 駅
ダニエル・K・イノウエ国際空港の駅名標と空港施設(記者撮影)

第2期開業、出だしは好調

第2期開業から最初の週末となる10月18〜19日は終日にわたって、スカイラインが全線無料開放された。乗車した人に話を聞くと、「地元の人や子供連れで席が埋まる程度に終日混んでいた」という。

交通サービス局が公表した第2期開業日以降の利用実績は、16〜17日が有料で1日平均1万1175人。第1期の実績からは大きく増えた。無料運転の18〜19日は1万9809人であり、目標の2万5000人に迫る数字となった。無料という理由があるとはいえ、市民の期待の表れといえるだろう。

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