金融担当相に片山さつき氏、業界首脳らと直接のパイプを持つところに強み、地銀再編への対応にも注目
金融行政を巡って片山氏が22日の就任会見で触れたテーマは主に「貯蓄から投資・資産運用」「地域金融」「金融犯罪」「金融機関の不祥事」の4つだった。
片山氏が特にこだわるテーマの一つが地域金融だ。21日に官邸内で記者団の取材に応じた際、これまで金融調査会長として、資産運用立国や人的投資、コーポレートガバナンス(企業統治)などに関わる政策を金融庁と一体となって取り組んできたとした上で、「新たに加えたいのは地方を金融を通じて元気にすることだ」と述べた。
片山氏は24年6月、地方銀行や信用金庫など地方金融機関を後押しする有志の議員連盟を創設し、トップに就任した。コロナ禍では実質無利子・無担保融資(ゼロゼロ融資)が企業の倒産を抑制したことから、地方経済における地方金融機関の重要性を再確認し、支援の体制づくりを議論してきた。
伊藤豊・金融庁長官は23日、全国銀行協会などが都内で開いたイベントで「金融庁として政策を総動員し、地域金融機関がその役割を十分発揮できる環境整備などをする」と述べた。同庁は年内をめどに、政策をパッケージ化した地域金融力強化プランを策定する。
日本銀行による利上げで「金利のある世界」が到来し、地銀を含めた金融機関の間で預金獲得競争が激しさを増している。最近では9月に千葉県内の2地銀が経営統合の合意を発表するなど、再編の動きも活発だ。地銀の経営や再編のあり方に片山氏がどう臨むのかにも関心が寄せられそうだ。
信頼回復への取り組みも課題に
金融業界では保険会社によるカルテルや情報漏えいといった不祥事が相次いだ。金融庁は「資産運用・保険監督局」を新設するなどの大規模な組織改編を予定している。「貯蓄から投資へ」の流れをさらに後押しするだけでなく、不祥事が相次いだ保険業界に対する監督体制を強化する狙いがある。信頼回復への取り組みも課題となる。
日本総研の谷口栄治主任研究員は9月のリポートで、組織再編について「背景には、金融ビジネスや金融リスクの多様化・複雑化・高度化に伴い、当局による監督機能の重要性が高まっていることがある」と指摘している。
業界で相次いだ不祥事について、片山氏は会見で「問題は組織やチェック体制がコンプライアンスに適したようになっているかで、絶え間なく見直していかなければならない」と語った。
著者:鈴木英樹
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