ゴキブリ発言で論争が勃発、相次ぐ企業破綻の責任者は銀行なのか?それともプライベートクレジット企業なのか?

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マーク・リップシュルツ氏とジェイミー・ダイモン氏Photographers: Jeenah Moon, Jose Sarmento Matos/Bloomberg

米自動車ローン会社のトライカラー・ホールディングスと自動車部品メーカー、ファースト・ブランズ・グループの相次ぐ破綻を機に、銀行とプライベートクレジット企業のどちらが景気悪化時に優位かを巡る論争に火が付いた。

米銀JPモルガン・チェースのジェイミー・ダイモン最高経営責任者(CEO)は、トライカラーの破綻に伴う損失を引き合いに、ゴキブリは他にもいると述べた。 

これに対し、オルタナティブ資産運用会社ブルー・アウル・キャピタルのマーク・リップシュルツ共同CEOが反論。問題は銀行が主導する融資にあり、ゴキブリをさらに退治したいなら、ダイモン氏は自行のバランスシートを確認すべきだと切り返した。 

リップシュルツ氏の発言は、プライベートクレジット業界幹部の不満を代弁する形となった。トライカラーとファースト・ブランズの破綻を巡り、銀行側の審査が甘かったにもかかわらず新興の貸し手によるリスク増大の事例とされている状況に対し、業界関係者の間では不満がくすぶっていた。

リップシュルツ氏はプライベート市場参加者への批判について、「業界が成長や成功し続けない方が良いという現実的で狭い利害を抱える人々が存在する」と指摘。

プライベートクレジットで大きな存在感を示している「ブラックストーンの時価総額は、今や世界の多くの金融機関を上回っている」と言及した上で、これを快く思わない人もいるだろうと述べた。

この論争は、金融業界の勢力図が大きく変わりつつある中で生じている問題を象徴している。銀行は望むと望まざるとにかかわらず、シェアを譲るか新興の貸し手と共存するか対応を迫られている。

プライベートクレジット企業は、銀行のレバレッジドローン部門から一部の業務を奪う一方、銀行にとっての重要な顧客やパートナーにもなってきた。こうした論争の勃発は、ここ数年の微妙な共存関係を崩しかねない状況だ。

カイマ・キャピタルを運営するアクシャイ・シャー氏は、「あちこちで地雷が爆発し始めている」との見方を示し、「マーク(リップシュルツ氏)は銀行側で起きていると言い、ジェイミー(ダイモン氏)は別の場所と言うかもしれない。ただ、私は両側で起きていると思う」と話している。カイマは不良債権などを扱っている。

著者:Sridhar Natarajan

ブルームバーグ
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