「NHK ONE」騒動で露見した《公共放送》が抱える矛盾、NHKに再び質問を送ってみたら回答書が"ツッコミどころ満載"だった
まるで禅問答ではないか。「誰でも」と言いつつ「契約が必要」とも言い、「契約者だけが利用できるものではない」と言うのは、立て続けに矛盾している。
これは実は、これまでNHKが説明してきた「公共放送」のあり方にも存在していた矛盾である。
テレビを買えば、誰でも利用できる――。それが公共的役割を担う放送局のあり方だ。だが、受像機を購入した人はNHKとの受信料契約が必要になる。公共放送は受信料で成り立っているからだ。
だったら「誰でも利用できるとか言うな」と言いたくなるが、受信料契約がないと見られないと言ってしまうと「有料放送」になってしまう。WOWOWなどと同じポジションになってしまい、公共放送ではなくなる。論理の袋小路に入り込んでしまうこの矛盾を、もともとNHKは抱えていた。
だが、インターネット登場以前のテレビは99%近くの世帯普及率を誇り、チャンネル数は多くても6つや7つ。NHKを見ないとは言えない状況下でなんとかこらえきれていた矛盾でしかなく、ネットが普及した2000年代に“ほころび”が生じていた。それがネット配信も放送と同じ「必須業務」になったことで、矛盾がはっきりと露呈してしまっているのだ。
見直されるべきだった「公共放送」の定義
これまでの「NHKプラス」は、受信料契約者だけが利用できた。そのため、ネットサービスなのにわざわざハガキを出すという奇妙な手続きが必要だった。
だが、晴れて必須業務化された今、放送と同じように「誰でも利用できる」状況を作らねばならない、ということだろう。だから、小さいけれど「あとで登録」の選択肢を消せない。回答の最初に「どなたでも利用できる」とわざわざ書いて、矛盾した説明をせざるをえない。矛盾しているので、どう説明しても破綻してしまうのだ。
NHKはネット配信を必須業務化する前に、これまで矛盾をごまかしていた「公共放送」の定義を見直すべきだった。だが、それを後回しにした結果、謎の論理でサービスを整え、フリーライドの余地を消したいのに残さないわけにはいかなくなっている。
回答書のほかの質問の回答も紹介しておこう。
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